ITプラットフォームへ移動
特集

ノーコードツールってなんですか?

  • 2023年4月17日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援)  清水康裕
  • #ノーコード
ノーコードツールってなんですか?

ノーコードツールとは、システム構築に必要なプログラム(ソースコード)を記載せずにアプリケーションを開発するための手段です。
業務用途に応じて様々なツールがあります。

ノーコードツールとは

 アプリケーションを構築するには、プログラム(ソースコード)を記載する必要があります。プログラムとは、アプリケーションを動かすための言語で、画面のボタンを押したら次の画面に遷移する、といった処理を行うためのものです。ちょうど、表紙にあるアルファベットと記号、数字の羅列のようなものがプログラムのイメージです。
 以下の画面は、「ここからアプリ」のトップ画面ですが、右側のスペル表記されたものがプログラムです。



このサイトのプログラム

 一見すると解読不能な文字列なので、プログラムは専門家に任せなければ非効率になります。しかし、ノーコードツールを使えば、プログラムを記載しなくても、簡単なアプリケーションであれば、作成することできます。

ノーコードツールでできること、できないこと

 ノーコードツールはプログラムを記載する代わりに、画面に必要な機能を設置(デザインする)ことで実装できるため、直感的な操作によりアプリケーションを構築することができます。そのため、従来のシステム開発の手順(専門家に要件を伝えて、認識の齟齬がないか確認しながら進めていく)と比較すると、短期間・低コストでアプリケーションを構築できる可能性があります。短期間でアプリケーションを構築できれば、事業推進に応じたタイムリーなシステム実装が可能になります。また、低コストのため、多くのアプリケーションを構築して業務効率を向上することができます。
 ただし、どのような機能でも思い通りに実現できるというわけではありません。ノーコードツールは、開発環境(プラットフォームと言います。)が特定されるため、自社独自の特別な機能や複雑な処理は実装できない場合があります。また、プラットフォームが特定されるということは、プラットフォーム運営会社の研究開発状況に影響を受けるため、アプリケーション構築の自由度が制限される場合があります。
 ノーコードツールを利用する場合は、IT化したい業務がノーコードで対応できるかを見極めることが重要です。

ノーコードツール活用

 ノーコードツールには様々な種類があります。以下は一般社団法人NoCoders Japan協会(ノーコーダーズ・ジャパン協会)が公開しているノーコード・カオスマップ2022年8月版です。こちらを見ると、様々な事業領域でノーコードツールが提供されていることが確認できます。
 今回は、中小企業で利用する可能性が高い、ホームページ作成機能を中心に概要を紹介します。

ノーコード・カオスマップ2022年8月版

ノーコード・カオスマップ2022年8月版(一般社団法人NoCoders Japan協会)

ホームページ作成

 ホームページは、企業規模を問わず、業務遂行に欠かせない情報発信源です。企業情報やサービスの紹介だけでなく、商品のWeb販売(ECサイト)、お客様とのコミュニケーション(ブログ、アンケートなど)のように、活用用途は様々です。
 無料提供されているホームページ作成ツールは多数ありますが、それらの主な共通点は以下3つになります。
1. ホームページのデザイン、機能(テンプレート)を選ぶ
2. テンプレートに自社情報を登録する
3. 完成したホームページを公開する

1. ホームページのデザイン、機能(テンプレート)を選ぶ
 ホームページ作成ツールの種類によって呼び方は違いますが、ホームページのデザインの大枠を決めるテンプレートが用意されています。ホームページの目的(コンセプト)に合致したテンプレートを選ぶことで、プログラムを記載することなく、ホームページを作成する基盤ができます。例えば、企業紹介を目的とするのであれば、プレスリリースやブログを頻繁に更新しますので、サイト訪問者がそれを認識できる機能が用意されたテンプレートを選定します。商品販売が目的であれば、カテゴリー毎に商品を掲載し、カートに入れて購入につなげる機能が用意されたテンプレートを選定します。
 多くのツールでテンプレートは無料で提供されています。ただし、無料テンプレートの場合は、自社のドメインが使えない、広告が埋め込まれてしまう、といった制約があります。これを解消するためには、有料版に切り替える必要があります。また、優れたデザインのテンプレートを別途販売するツールもあります。自社のホームページの目的を明確にしたうえで、ツールとテンプレートを選定しなければなりません。

2. テンプレートに自社情報を登録する
テンプレートが決まったら、自社に適した写真や動画、メッセージを用意します。ノーコードツールであっても、ホームページ上に自社情報を登録するのはご自身の役割です。登録方法はツールによって異なるため、実装には習熟が必要であり最初は戸惑うかもしれません。画面の色合いについては選択できる場合が多く、自社色(コーポレートカラー)に近い色合いとすることが可能です。

3. 完成したホームページを公開する
 ホームページの作成はWeb上で行います。ただし、仕掛中のホームページは公開されません。ホームページを公開する際は、公開ボタンをチェックするといった、簡単な操作で対応できます。ちなみに、ホームページを公開するまでは、Webブラウザで検索しても、該当ホームページはヒットしません。URLを直接入力しない限りは仕掛中ホームページにたどり着けないため安心です。もちろん、公開前からむやみにURLを共有しないといったITリテラシーも重要です。
Webサイトを公開設定にすることにより、Webブラウザで検索対象となります。公開後はより多くの方に参照してもらえるような工夫(SEO対策等)や、サイト訪問者がどのような情報に興味を示しているかの分析を行います。

 ホームページ作成用のノーコードツールは上記のような特性をもちます。すべてのノーコードツールがテンプレートを持っているわけではなく、例えば、ビジネスアプリに分類されているノーコードツールの多くは、何もない画面に対して必要な情報(入力項目や照会項目、各種ボタンなど)を登録すると、画面に反映され利用できるという特徴を持ちます。
 画用紙に絵を描いたら、それがそのままホームページ画面に反映されるといったイメージです。ノーコードツールは利用するツールによって特性が異なるので留意してください。

 プログラミング知識がなくてもホームページや情報管理を行えることがノーコードツールの特徴ですが、一方でできないこともあります。製作が容易である反面、ツールの制約を受けるため、複雑な構成や機能には対応できません。とはいえ、必須項目の設定や実在日チェックといった機能は実装されている場合が多いので、表計算ソフトで情報収集するよりもデータ精度は高まります。
自社の強みを損なうようなIT化では本末転倒となってしまいますが、そこまでの複雑性を必要としない業務機能であれば、ノーコードツールも選択肢となります。