ITプラットフォームへ移動
特集

飲食店・顧客・配達員をつなぐ宅配システム(フードデリバリー)

  • 2022年9月6日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 坂本ゆみか
  • フードデリバリー
  • 宅配システム
サムネイル画像

近年、食品宅配市場が拡大しています。特に飲食店の料理をオンラインで注文し、指定の場所へ配達してもらうデリバリーサービスの利用者が増えているそうです。
背景には、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食店事業者が新たに宅配やテイクアウトのサービスをはじめたことや、配達代行事業者の増加、フードデリバリーのプラットフォームの市場が活性化してきたことなどがあります。
そこで今回の特集では、主に飲食店が取り組む宅配(デリバリー)事業における支援システムについてご紹介します。

宅配(デリバリー)システムの利用タイプ

従来からピザ店や寿司店が独自に注文を受け付け、自店スタッフが直接配達する出前サービス(以下、自社注文宅配型)は存在していましたが、近年の新しい宅配事業(デリバリーサービス)のシステムは、主に2つの利用形態があります。

・マーケットプレイス型

マーケットプレイス型は、もともと自店で配達リソース(人員・設備等)を有している飲食店と消費者をオンラインでマッチングする仕組みで、オーダープラットフォーム型とも呼ばれます。

飲食店は、注文受付のみマーケットプレイス事業者が提供するオンラインシステムを利用し、宅配は自店スタッフが直接行います。マーケットプレイス事業者が飲食店(加盟店)を多数集めて情報を掲載しているため、利用者側の選択肢が広がり、アプリから簡単に注文できたりするなど、自社注文宅配型に比べて利便性が高いのが特徴です。

・デリバリープラットフォーム型

注文受付だけでなく、配達の代行も依頼できる仕組みがデリバリープラットフォーム型です。配達員は、プラットフォーム事業者が直接雇用している従業員で代行する形式と、個人事業主などと業務委託契約を結び、都度マッチングが行われて配達代行する形式があります。

いずれの形式も注文情報からエリア内に近い配達員が飲食店の商品(料理)を受け取り、注文者へ配達を行います。

宅配(デリバリー)システムを提供する事業者の中には、マーケットプレイス型とデリバリープラットフォーム型の両方の領域をカバーし、飲食店側が利用するサービスを選択できるようにしているケースもあります。

宅配(デリバリー)システムのメリット

注文・決済・配達代行の手続きがプラットフォーム化され、消費者と飲食店をマッチングする仕組みが広がっていくこと利用者の利便性がますます高まり、デリバリーサービスの日常的な利用が進むと考えられます。飲食店側にとって宅配(デリバリー)システムを活用するメリットとしては、次のようなことが期待できます。

・立地や席数に制限されずに集客・売上アップにつながる

宅配サービスを利用する消費者は、専用サイト内で好みのメニューや希望の価格帯を検索して注文します。飲食店側は、店舗情報や商品情報を登録することで立地条件に関係なくお客様へアピールすることができ、新規顧客獲得の機会や認知度向上が期待できます。

また、店内の座席数に影響されないため、満席だったり外食が難しい情勢になったりしても、売上機会を逃すことなく注文を受け付けることができ売上拡大につながります。

・初期投資の抑制や受付・配達業務の省力化

従来の出前では、お店側が独自に配達スタッフやバイク・自転車などを確保する必要がありましたが、配達代行を利用することで新たな増員や設備投資を行わずに済むため、初期投資を抑えることが可能です。

また、注文受付や決済の仕組みも用意されたオンライン上のシステムを利用することで、手軽に宅配事業を開始することできます。

宅配(デリバリー)システムの選定

マーケットプレイス事業者やプラットフォーム事業者を選定する際の主なポイントは次の通りです。集客力やサービスの使い勝手なども確認してみしょう。

・登録ユーザー数・配達範囲

宅配を希望する登録ユーザー数が多いほど、自店の認知度向上や顧客獲得機会へつながる可能性が高くなります。配達範囲は、日本全国で対応可能な事業者と大都市圏中心に展開している事業者があります。

まずは、自店の想定する商圏で利用な可能な事業者のサービスを調査してみましょう。

・サービス利用料・配達手数料

宅配(デリバリー)システムを利用する際にかかる費用として、サービス利用料や配達手数料があります。取引が成立した商品代金(注文金額)に対して、一定の料率が設定されていることが多く、30~40%程度が目安です。料率の設定は事業者ごとに異なり、最低配達手数料として数百円が発生するような料金体系も一部で見られます。

その他、加盟店登録料やカード決済手数料などの費用も生じることがあるため、各社へ問い合わせて比較してみましょう。