人員不足の中小企業必見! RPA(ソフトウェアロボット)の活かし方
- 2022年7月4日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 野村真実
- RPA
- 自動化
どんな業種の企業様でもPCを操作する業務が増えてきました。
そのため、PC操作を自動化するツールとして、ソフトウェアロボットと呼ばれるRPA(Robotic Process Automation)の導入検討が盛んに行われています。
実際に効果が出た事例や失敗しないためのコツをご紹介いたします。
RPAツールの種類と選定方法
RPAツールは、大きく分けて下記の3種類があり、使用用途によって、選定します。
(1)デスクトップ型、(2)サーバー型、(3)クラウドサービス型
(1)デスクトップ型
特定のパソコンで行っている単純作業を自動化するなど、それぞれのパソコン内の作業に限定して用いられ、各ユーザーのニーズにあったロボットを作れることが特徴です。担当者レベルで各パソコンの専用のロボットを作成・管理できるため、初めてRPAを導入し小さな困りごとを自動化する際などに向いています。
(2)サーバー型
サーバー内でのみロボットが稼動するため、ロボットに行わせる業務を一括管理することができ、利用者はサーバーに接続された複数のパソコンからロボットを利用できるのが特徴です。
一般的に、多くのロボットに大量のデータを扱わせるような業務に使用されています。「サーバー型」にはクラウド上に置くタイプのものもあり、オンプレミスタイプに比べ、ストレージの拡張性が高いことや、オンライン環境があればどこでも使える利便性などにより、今後、支社や支店なども含めて全社的に自動化し一元管理したいといった場合に向いています。コスト削減、被災時の業務継続などのメリットも期待できます。ただサーバー設定もあり、導入は容易ではありませんので、中小企業では支援者が必要です。
(3)クラウドサービス型
月額タイプのSaaS型であり、使用者がサーバーなどを用意する必要はありません。サーバー型のようにRPA用サーバーを単純にネット上に置くタイプではなく、準備不要で契約後すぐに使用できるのが長所です。ただ常時ネット接続しておく必要があります。
RPA適用のコツ
RPAツールの選択がある程度定まったあとも、考えなければならないことは多々あります。その中でよく耳にする問題とその解決策をご紹介いたします。
(1)社内での合意形成
単純に「定型業務を自動化します」と現場担当者に伝えると、「今やっている仕事が自動化されて、自分の仕事が無くなる」と思われ協力が得られなくなる危険性があります。
正しく理解してもらうには「RPAは単純作業などの時間を削減でき、今まで時間が無くてできなかった業務ができるようになる」「面倒だった作業から解放される」というようなRPAが現場にもたらすメリットを説明し、馴染のある普段の業務でデモを行ってRPAがどういうものか理解してもらいましょう。
(2)開発・運用担当者は現場から
ロボットの開発は、自動化する業務をタスクレベルまで細分化し、PC操作をRPAに教えますが、業務を一番知っているのはやはり現場の担当者です。
中でもExcelマクロを普段から活用して仕事を効率化している現場担当者は、まさに最適な存在と言えます。
(3)最初は小さな困りごとを解決するつもりで始める
最初の開発は社内での注目度も高いため大きな効果を出したいところですが、経験も無く手探りの状況なので、まずは小さく始めることをお薦めします。
最初に選ぶ業務は、現場担当者からヒアリングし普段の業務で「属人化しミスが多発して困っている業務」や「操作手順など詳細まで手順が文書化されている業務」の中で「条件分岐の少ない業務」から選ぶと良いでしょう。
手作業によるちょっとしたミスを無くす気持ちで始めてみましょう。
(4)ロボットの役割と動きを文書化し、管理者を決める
ロボットを作ると、ロボットに行わせている業務がブラックボックス化したり、インプットの仕様が分からなくなったり、誰が管理しているか分からなくなったりする可能性があります。
そうなると、不測の事態の際に、ロボットがどのような処理をしているのか、正しいインプットは何なのか、そもそも誰が管理しているのかなどが分からず対処が遅れる(若しくは対処できない)ことになってしまいます。
不測の事態を出来るだけ起こさないためにも、ロボットの仕様や処理の内容、管理者を明らかにして、ロボットの周辺業務の変更を行う際に、ロボットの仕様に影響がないか考慮することを徹底しましょう。
(5)開発記録を次に活かす
ロボットを作る際、その開発工程を記録やメモしておき、次の開発に活かすことをお薦めします。色々試行錯誤したことを次回も繰り返さずに済み、開発期間が短縮できます。
RPA事例
どんな業種でどんな効果が出たのか、概要をご紹介いたします。
(1)駐車場サービス業事例 「市場調査にRPA」
会社近くのオフィス街にある駐車場の周辺には、ライバル会社の駐車場も多く、変動する価格帯の調査や新規駐車場の開設などをいち早く知る必要がありました。
人手で実施していた調査は、頻繁に行うこともできずに、顧客流出や機会損失などが起こる原因となっていました。そこで他社動向をネットで調べる業務を自動化すべく、RPAを導入。3時間かかっていた調査が5分で終わるなど、社内の人的リソースを最適配置し、営業など高付加価値業務へ集中することが可能となりました。
(2)イベント業事例 「交通費精算にRPA」
IoT、ナノテクなど最先端技術をテーマにした展示会を自社で独自に企画・開催・運営するJ社は、営業担当が常に飛び回っており、交通費精算の数が多く、申請する本人と管理する事務担当がその煩雑さ(1経路ごとに計算)に困っていました。
そこで交通費検索サイトに自動ログインし、勝手に計算してくれるRPAを導入しました。申請は日付と移動元と移動先のみであとは自動計算され、給与計算に連動する仕組みもできました。
(3)事務サービス業事例 「業務報告書作成にRPA」
法人向けの福利厚生代行サービスなどを手掛けるB社は、毎月顧客宛ての業務報告書を作成しています。
この報告書は基幹システムから実績データを落とし、加工する作業を手作業でやっており、6名×50時間=300時間の事務作業が毎月発生していました。
そこで基幹システムからデータをCSVでExcelに落とし、法人ごとの計算をしてくれるRPAを導入しました。結果、120時間に短縮し、ミスも少なくなったとのことです。
以上、諸々検討の上、是非ご活用してください。
参考
ここからアプリでも、「RPA」アプリを紹介しています。是非ご参考になさってください。