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特集

小規模店舗はキャッシュレスにどのように対応すべきか【中小企業のためのクラウドサービス/アプリ分野紹介 第12弾 店頭QRコード】

  • 2019年10月31日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上知也
  • アプリ分野紹介
 

 10月の消費税率引き上げのタイミングで、消費者に5%還元する「キャッシュレス・消費者還元事業」施策が実施されたことで、日本のキャッシュレス化は盛り上がっています。お店を運営する中小事業者の皆さんも「なんらかキャッシュレスに対応しなければならないのでは」と悩んでいるのではないでしょうか。一方で、キャッシュレスは、種類が多く、何にどのように対応していいかわからず二の足を踏んでいる方も多いです。本記事では、中小事業者がキャッシュレスを選ぶ際のポイントを紹介します。

キャッシュレスの種類

 キャッシュレスと言っても、クレジットカード、電子マネー(SUICA等)、スマホQR決済と複数の手段があります。今後はどの決済手段が増加するでしょうか。現時点ではクレジットカードと電子マネーの普及率が高くなっています。近年、鉄道を利用する人はほとんどの人が電子マネーを持っていますし、郊外に住む人達も、総合スーパーの電子マネーを持っています。一方でスマホQR決済は今始まったばかりでまだまだシェアは高くありません。

(図表)キャッシュレスの保有率と利用単価

 消費者は複数の手段をどのように使い分けているのでしょうか。これは利用する単価を見ると一目瞭然です。クレジットカードの平均利用単価は8千円を超えているのに対して、ICカードの電子マネーは千円を切っています。高単価なお店ではクレジットカードを使い、低単価な買い物では電子マネーを利用しています。クレジットカードは今でも署名を求められることが多く、ちょっとした安価な買い物で使うのは面倒という印象があります。一方電子マネーは、例えば交通系電子マネーだとプラスチックカードに入れられる金額は2万円までと上限があるため、高額な買い物に向いていません。

 スマホQR決済決済は、サービスによって支払い上限は異なりますが、100万円まで支払えるサービスもあるため、電子マネーに比べて、低額から高額までをカバーできる可能性があります。スマホQR決済は、この1−2年で急速に普及すると考えられており、近い内に電子マネーに匹敵するという予測もでています。(出典:スマートフォンを使ったコード決済サービスについて(ITC総研))

お店はどのキャッシュレスを選べばいいのか

 それでは、「クレジットカード」、「電子マネー」、「スマホQR」の決済のうち、どれが普及するでしょうか。消費者は、電子マネーに一番利便性を感じています。なぜなら、クレジットカードは決済時に基本的には署名もしくは暗証番号入力が必要ですし、スマホQR決済は利用する前にアプリを立ち上げるという手間がありためです。

 一方で、ユーザ体験としてはピッ!とタッチするだけで決済が終わる電子マネーが一番しっくり来るでしょう。

 では、お店側も電子マネーがいいかというとそうもいきません。お店側の視点として、もっとも気になるのは、決済手数料です。そうすると現状で手数料無料のものがあり、将来的にもクレジットカードや電子マネーの手数料を下回ると考えられているスマホQR決済が有力です。

 さらにスマホQR決済には販売促進に活用することも有力視されています。今までクレジットカードや電子マネーで決済しても、お客様の名前や住所と言った個人情報をお店は取得できませんので、お客様にお礼の手紙を出すこともできませんでした。一方で、スマホQR決済でも、個人情報は取得できませんが、購入客にメッセージを送る機能がついているものがあります。自店で決済された人、すなわち既存のお客様にメッセージを送ることができるのは、販売促進の面で非常に効果が大きいのではないでしょうか。

(図表)キャッシュレス導入の視点

 それぞれに一長一短があり、悩ましいところですが、とりあえず試してみるのは、スマホQR決済が導入も簡単で進めやすいかと思います。

 ただし最終的には、お店は複数のキャッシュレス手段に対応していかざるを得ない時代が来るでしょう。しかし最初からたくさんの手段に対応するのはお店の準備負荷が高くなりますので、今のうちに、まずは一つでもいいので導入して将来に備えてほしいと思います。

○具体的な決済ブランドを選ぶ際の視点

具体的な決済ブランドを選ぶ際の視点をまとめて記載します。決済会社を選定して契約する前に、必ず以下の図表の項目は確認しておきましょう。

(図表)キャッシュレスを選ぶ際の視点

 まずは、自店に導入するキャッシュレスの種類を選びましょう。クレジットカードなのか、電子マネーなのか、スマホQR決済なのか、それとも全部まとめて導入するのかです。

 次に店舗視点としては、お金の条件面は必ず確認しておきましょう。決済ごとにかかる決済手数料の他、入金時にかかる支払手数料についてもチェックしておきましょう。さらにその入金がいつのタイミングに払われるのか、支払いサイトの確認も必要です。

 なお、キャッシュレスの種類によっては紙のレシートが出力されないものもあります。レシートやレジをどうするかといった視点も持っておきましょう。

 さらに、消費者視点としては、消費者にとってお得で、使いやすいキャッシュレスがよく使われることになるでしょう。消費者還元のキャンペーンの割引率が高いものが人気になっています。さらに決済によっては支払上限が異なります。高額商品を取り扱っているお店では、支払上限が高めのものを選んでおきましょう。

 それ以外にも、対応する決済の種類の多さや、海外旅行者のインバウンド対応ができるか、などの内容もチェックしておきましょう。

○ここからアプリ 決済 (店頭クレジットカード)(店頭QRコード)

 ここからアプリで掲載しているコーナーを紹介します。

ここからアプリ「決済(店頭クレジットカード)」アプリ検索結果
ここからアプリ「決済(店頭QRコード)」アプリ検索結果
 ここからアプリで紹介しているアプリは、無料で試行できるものが多くなっていますので、ぜひ導入に向けて試していただければと思います。

○結びに

 小規模の店舗としては、お店で導入する前に、まずは消費者としてキャッシュレスを体験してみましょう。お店で支払いをしたり、友人との割り勘をキャッシュレスで行ったりと、試してみることが重要です。その上で便利さが実感できるようであれば、自店舗へも導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 スマホのQR決済であれば、導入コストは0で試せるものもあります。2020年の6月末までは、政府の還元施策の他にも決済事業者のキャンペーンが多数行われるでしょう。自社の販売促進策と絡めて売上アップにつなげてほしいと思います。さらに、お店の効率化も考えるとキャッシュレスだけではなく、レジとの連動性も考慮に入れて総合的に検討していくと良いでしょう。