AI活用の未来〜生成系AIは本当にすごいのか
- 2023年11月24日
- 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
イラストはCanvaAIで作成(商用利用OK)
毎日のように新しいAIのニュースが流れてきます。画像が生成できる、動画が生成できる、人間のようにチャットが応答してくれる・・・すごい!
「AIはすごい」という情報が多いですが、本当にすごいのか、何を持ってすごいと言われるのか、考えていきたいと思います。
インターネットのすごい
これまで、様々な出来事がインターネット上で起こり、次々に斬新なネットサービスが生まれてきました。現状はChatGPTを含めたAIサービスが日々紹介されていますが、皆さんは今までのネット体験ですごいと思ったものはありますか?
私が初めてインターネットを使ったのは1990年代でした。大学生の頃でしたので、海外の論文がネット上で見れたことにびっくりしたのを覚えています。もちろん、現在のように簡単に論文検索できる仕組みではなかったですが。
また、Web会議システムのSkypeが登場した時にも驚きました。当時は海外の親戚から電話がかかってきた時に、国際電話の料金は高いので急いで家族を呼びに行っていました。それがSkypeで通話すると無料であるというのは本当にすごい!と思いました。残念ながら、その後Skypeは勢いを失ってしまいましたが、コロナ禍を経て、ZoomやTeamsなどのWeb会議システムがすっかり普及したことを思うと、やはりSkypeは世界を変える一端を担ったのだなあと感慨深いです。
AIはすごいのか?
それに比べるとChatGPTをはじめとした今のAIはどうでしょうか?皆さんはどう思いますか? よくわからないけどすごそう!と思ったり、ちょっと使ったけど使い方が難しいと思ったりするかもしれません。
皆さんの携わっている仕事の状況によって、意見も変わってきます。
私が個人的に一番AIのメリットを享受できているのは会計業務です。日々、自身の会社の経理を行うわけですが、インボイス対応も始まり、領収書や請求書の管理、会計仕訳の登録にAIが活躍してくれています。これがないと、一人で経理はできなかったのではないかと思うほど感謝しています。
正直、勘定科目の推測というのはAIの中ではレベルが高い業務ではないと思います。しかし、自分の業務が減らせるという意味では、「すごい!」と感じるわけです。
会計業務以外では、無料版のChatGPTで文章を作ったり、要約したり校正することについては多少の恩恵は受けていますが、現状で必須なものかというとそうでもない、というのが実感です。しかし、ChatGPTはすごくない、と言いたいわけではありません。業務に直結して使える事業者は「すごい」と実感されています。
有料版になるともっとすごい?
さらに有料版のChatGPTでは新しい機能が次々と追加され、業務に直結していなくても、すごい!と感じる日々です。
文章を生成するだけではなく図表やイラストも生成できるようになっていますのでいくつか確認します。
ChatGPT内で活用できる、(1) Advanced Data Analysis、(2) Browse with Bing、(3) DALL-E3を紹介します。
1)図表を作る 〜Advanced Data Analysis機能の活用
「世界の人口ランキング11位までを世界地図にバブルチャートで表示してください。」とお願いすると、以下図表を作成してくれました。
もし、このグラフを自分で作るとしたらどれくらいの時間が必要でしょうか。AIでは30秒程度で作成することができました。
(2)出典も合わせて調べる〜Browse with Bing機能の活用
無料版ではAIが生成した文章の内容が正しいのか、調べるために自分で改めて検索エンジンを使って確認するという作業が必要でした。
しかし、この機能を活用すると、インターネットの情報と連動して出典も合わせて出力することができるようになりました。
「中小企業基盤整備機構の概要を教えてください。」と依頼すると文章が出力され、その出典も明示してくれました。中小機構の組織概要などのホームページでの公開情報を元に生成されていました。
(3)イラストも一緒に作成する〜DALL-E3機能の活用
今度は、イラストの作成をChatGPT内から依頼しました。
「海辺で人間とロボットが座って対話しているイラストを作成してください。」
イラスト作成や図表作成も多数のツールで実現が可能です。ChatGPTという一つのツールの中からすべて行えるようになるのは「すごい!」のではないでしょうか?今後のさらなる進化に期待です。
自社データが活用できるようになるとものすごい!?
ここまでは、あくまでインターネット上の情報を学習させたAIができることを紹介してきました。しかし、ここで終わりではなくその先があります。それは自社のデータを活用する世界です。インターネット上には数多くの情報がありますが、それ以上に自社のファイルサーバ上には有益な情報があるはずです。
例えば、お客様との折衝記録を記載した顧客カルテをAIに学習させれば、自社のお客様の問合せに自動で回答してくれるチャットボットが提供できる可能性があります。
また、社内ノウハウの文書を学習させれば、社内の調べ物にチャットで回答してくれるコールセンタが提供できる可能性があります。さらに音声で回答することも可能です。
ここまで実現できれば、「ものすごい!」でしょう。実際には実現のハードルは多々ありますが、データさえ大量にあればAIで仕事を変える未来はすぐそこまで来ているように感じます。
まとめ
AIの進化がすごいことは間違いありません。しかし、なんとなくすごい、と言っているだけではなく、実際に自社で活用できるポイントを見つけ、それを実現することができれば、本当にすごいことが起きるのではないでしょうか?