インボイス制度がスタートして端数処理で苦労する〜合算請求書には注意が必要
- 2023年11月24日
- 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
- DX
- インボイス
2023年10月からインボイス制度がスタートしました。端数処理が変更され、消費税額の記載が大事なポイントになっています。
しかし、消費税額の記載による業務の手戻りや調整が発生するケースが増えています。
本記事では端数処理の変更内容と、合算請求書での注意事項について紹介します。
インボイス制度で請求書の端数処理ルールが変更されました
インボイス制度では端数処理のルールが「税率ごとに1回の端数処理」と決められています。
以下の例では、商品の一行ごとに端数処理をするのはNGとなり、税率ごとに税抜金額を合算してそれから端数処理を行います。
そうすると、切り上げや切り下げの仕方によっては合計金額が異なってきます。なお、切り上げや切り下げについては事業者が任意に決めることができます。
まとめて請求の際の端数処理でズレが発生する
1回の取引であれば端数処理でそれほど苦労することはないかもしれません。しかし、継続的に納品して、月末にまとめて請求をする場合には次のような問題が発生します。
取引先に都度納品をしており、納品の際には商品名、金額、消費税額を記載した納品書をつけていました。そして、月末に当月分の請求額をまとめて請求していました。そうすると、消費税の端数処理の変更に伴い、都度納品書の消費税額の合計と、請求書消費税額の数字が異なってしまっています。
対策としては、納品書に消費税額を記載しないということになります。この場合、納品書はインボイスではないため、消費税額の記載は必須ではありません。ただし、事前に取引先と消費税額の扱いや記載内容についてはコミュニケーションをとって相談しておくことが必要になります。
後になって不必要な事務処理や交渉を避けるため、事前のコミュニケーションの重要性が高まります。
国税庁のQ&A
なお、まとめて請求書交付の際のQ&Aは国税庁のサイトの問65にも掲載されていますので確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf#page=97