川路さん 「フランスでの修行時代、“日本人としてのアイデンティティ”を強く感じるようになりました。そこで帰国後にお店を開くにあたっては『和風のチョコレート』を出したいと思いました。こちらの場所は、浅草の中心街から隅田川を渡った下町エリアで、古くから残る江戸の雰囲気と、海外から訪れる観光客が不思議にミックスしている場所でもあります」
【課題】経理作業と釣り銭の用意が大きな手間に
川路さん 「2017年にお店をオープンしたとき、ごく当たり前に一般のレジを入れました。しかしチョコレートという小さな商品を販売する特性から、日々の〆、月次の〆という経理作業が面倒でした。またお店の定休日で時間が取れるときにそうした作業を進める際も、わざわざお店に足を運ぶ必要があり、時間の有効利用の妨げになっていました。また釣り銭の用意も課題となっていました。たびたび銀行に両替に行くのは時間もかかりますし、手数料も必要です。また高額紙幣でお買い物なさるお客さまが思っていた以上にいらっしゃった日には、近所のコンビニに行きガムや飴を1万円札で買い、釣り銭用の紙幣や小銭を用意することもありました」
【導入】自身の調査と指導者の助言でITを導入
川路さん 「経理に手間がかかる問題をどうしたらいいか調べ、タブレット端末で決済する『Airレジ』を導入しました。タブレットとインターネット環境があれば、導入費を含め基本的な費用は無料だというところに魅力を感じました。またキャッシュレス決済がメディアで話題になっていることから支援者の方に相談したところ、墨田区でもキャッシュレス決済を推進していることを知り、『PayPay』と『楽天Pay』を導入しました。こちらは専用の端末の導入が必要でしたが、年間である程度の決済をすれば端末代金は無料になるということだったので、とくに不安はありませんでした」
【効果】売り上げが見える化され経営戦略にも効果を
川路さん 「従来のレジは単に売り上げを管理するだけでしたが、レジアプリ導入後は男女比や年齢層も簡単にデータ化できるほか、日々、月次の〆作業も容易で、いまどれだけ利益が出ているかがひと目でわかるようになりました。また商品を選んでいる段階で小計した数字を保留し最後に一括で会計できるため、グループでいらしたお客さまを順番だてて会計する必要もなくなりました。
そして売り上げデータはクラウドに保管され、お店にいなくても確認ができるだけでなく、商品ごとや日ごと、曜日ごとの売り上げデータなども簡単に一覧表示できます。自宅や出先など、時間のあるときにログインしてじっくり経営戦略を検討できるようになり、とても便利です。またキャッシュレス決済の利用は当初の予想以上でした。会計の段階になってから『あ、キャッシュレスできるんだ』とスマホを取り出すお客さまを見て、その普及ぶりを実感しています。そして以前より釣り銭を用意する手間も減っています。私が不在時にお店を任せている母がAirレジやキャッシュレス決済の手順を覚え、使いこなせるか不安でしたが、思っていた以上に簡単で、問題はありませんでした。」
【展望】新しいものに対応することがお客さま満足に
川路さん 「キャッシュレス決済など、新たな決済手段にきちんと対応していくことは、それをお使いになるお客さまへの当たり前のサービスだと思います。つまりお客さまが希望する決済手段を用意することは、お客さまのご満足度に直結します。そして、ここは流行を生み出していく店舗です。新しいものをどんどん取り入れていくことは、お店の品質にもつながります。いまはこちら1店舗だけですが、今後事業を順調に成長させ、2号店、3号店を出店するという展開にしたいと思っております。そうなったときに必要なスタッフの勤怠管理にも、ITを活用し省力化していきたいですね」
社名:株式会社ショコラティエ川路
HP:https://chocolatier-kawaji.com/index.html
代表:川路さとみ
設立:2017年6月
事業内容:チョコレートの小売販売とチョコレート教室事業を展開