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「文字に残すコミュニケーション」で、業務での情報共有がスムーズに。対面の“良さ”も再発見

  • 2020年03月18日
  • 株式会社Otono
  • 製造業
  • ビジネスチャット
  • テレワーク
  • 関東

それぞれが本業を持つスタッフが集まり、起業した、株式会社Otono。「集まる時間がない」という課題を克服するためにコミュニケーションアプリ「Slack」を導入、さらに非対面を基本とすることで、文字を基本とした第三者への情報共有、それぞれのスタッフの体験した世界の共有など、対面では生まれない新たな価値も見出しました。

青木さん「私たちの事業の原点になったのが、世界遺産にも指定された名跡『三保松原』での体験でした。三保松原は、美しい富士山の眺めで有名ですが、空気が霞み富士山が見えない日も少なくありません。そんな日にいらした観光客のみなさんが肩を落とし引き返すのを見て、とても残念だと思いました。なぜなら、三保松原には『羽衣伝説』や『御穂神社』など古い歴史が刻んださまざまな価値があり、たとえ富士山が見えなくても楽しめる場所だからです。ただそうしたストーリーを看板等の文字だけで伝えるには限界があります。そこで私たちが着目したのは『音』です。多彩な音のガイドとバラエティに富んだストーリーで、その地を巡る観光客のみなさまに、目の前の景色が映画や劇場のワンシーンになったような体験をお届けしたいと考えました。現在は観光名所やミュージアムのほか、タクシーや船の中でのスマートフォンで楽しめる多言語音声の提供を行っています。将来的にはここ静岡を起点とし、“あらゆる観光地をもっとエモーショナルに”をキーワードに、ドラマ型音声ガイドによる『観光地の劇場化』を全国に展開していきたいと思っています」

【課題】顔を合わせないスタッフ同士での進捗管理が課題に

青木さん「地方都市では人材が限られ、また市場規模もそれほど大きくないため、ひとつの事業で複数の正社員を抱え成長することも困難です。そこで私たちは、スタッフそれぞれが本業を持ちながら、“一緒にやろう”という思いのもと、結集しました。ただ、事業を進める上で課題となったのが、スタッフ同士のコミュニケーションです。それぞれが別の仕事にかかわっているため、毎日同じ場所、たとえばオフィスなどに集まり、顔を合わせることはできません。当初はみなが使っているツールでコミュニケーションを図りましたが、話が進んでいくうちに当初のテーマが埋もれてきてしまったり、話題が分岐してキャッチアップするのが難しくなったりといった問題が出てくるようになりました。いざ事業を具体化する段階では進捗管理なども求められたので、このままではいけないという危機感も生まれました」

【導入】検索や情報のわかりやすさでスムーズに導入

青木さん「利用していたツールに代わるものを探していくなか、支援者の方からご紹介いただいたのがSlackでした。実際に使ってみるとインターフェイスもわかりやすいし、話題ごとにチャンネルを分けることで話が脱線したり、流れが見えなくなったりすることもなくなりました。また確認したという足跡がわりにスタンプでリアクションできますし、そのスタンプで緩い感情表現もできます。これまでの慣れから以前から利用していたツールとの共存もしばらく続きましたが、検索がしやすい、情報が整理されてわかりやすいということが決め手となり、最終的に仕事のコミュニケーションはSlackに一本化されました。じつは弊社には60代のスタッフもいるんですが、問題なく使いこなせています」

【効果】「顔を合わせない」ことが新たな価値への気づきに

青木さん「一定期間使ってみて、さらにわかったメリットもあります。ファイルを共有しようと思っても、以前のツールだとうまく送れないことがありました。しかしSlackにはそんなトラブルもなく、Googleドライブ等の外部サービスとの連携もスムーズなので、会話とファイル送信で別々のツールを使うといった二度手間がなくなりました。またチャンネルを分けることができるので、仕事は仕事、雑談は雑談という切り替えも可能になり、スタッフ同士のコミュニケーションも活性化したように思えます。コミュニケーションの内容を文字に残すことで第三者との情報共有や引き継ぎに役立ちますし、非対面でも経験を共有できることで「一人の体験がみんなの体験になる」という効果も感じます。一方で、だからこそ時間と場所をともにする“対面の重要性”を再認識できたことも事実です。ITを活用してどこでも仕事ができるようになったからこそ、対面と非対面のメリットをうまく生かして事業を進めていきたいです。」

【展望】静岡から他地域への展開時には、さらなる活用を

青木さん「ここ静岡市での事業は将来に向けてのロールモデルという位置付けで、他地域への横展開も視野に入れています。その際は自分たちだけではなく、遠隔地の仲間とのコミュニケーションが必要になってくると思いますから、Slackはさらに役立ってくれるでしょう。また、いま使っているSlackは無料ですが、有料版は連携するアプリが増えるなど、魅力的な機能も使えるようになりますので、事業が拡大するタイミングを見計らって移行するかもしれません。さらに弊社では音声コンテンツ制作のほか、小売業も手がけています。そちらで経理や労務管理部門の負担も増えてくれば、アプリの活用も必須になってくると思います。将来的には検討したいですね」

企業名:株式会社Otono
HP:https://otono.site/

代表者:代表取締役社長 青木 真咲
所在地:静岡県静岡市清水区三保1303-3
設立日:2018年8月
従業員数:11名
事業内容:サービス業

支援者紹介)

静岡商工会議所 経営支援課 主幹
望月 一樹

望月さん「(㈱)Otonoに関しては、事業立ち上げのタイミングからお話をいただき、サポートを続けています。Otonoのサービスは声優や脚本家、写真家、モデルなど、開発には多くのメンバーがかかわっているため、全員が集まり打ち合わせや情報共有する場を持つことは困難で、将来的にはここが業務フロー上のボトルネックになるであろうと考え、その解決のためにSlackの導入を勧めました。こうした支援を行うため、私はいつもどんなアプリがあるか、どんな使い方ができるか、アンテナを張っていますが、とくに重視しているのがビジネス向けのPC雑誌やそのウェブサイトです。紹介する際、そのアプリがいい加減なものであってはなりません。そうした雑誌やサイトは一定の水準をクリアしたアプリをピックアップしている上、使い方もあわせて紹介しているため、支援先の事業所さまにもご理解いただきやすいからです。日々の支援では最近、各事業所さまの相談内容が多岐にわたり、専門的な内容が増加していると感じています。その課題解決のため、私は事業計画の立案から融資、補助金申請の支援まで複合的にお手伝いしています。そしてITツールは、業務上の課題解決に大きな役割を果たし、生産性向上をサポートします。ぜひ積極的に使っていただきたいと思います」

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