亀岡さん 「お菓子作りや料理が好きで食品メーカーに入社しましたが、自分でやるものづくりとは違う、何か新しいことを始めたいという思いから退職することにしました。そんなときに、松山にあるクラフトチョコレートのお店に出会い、働かせてもらうようになったのですが、実際に携わってみると、カカオ豆の産地によって異なる風味など、その奥深さがとても面白くて。作り手が丁寧に説明する販売スタイルにも魅力を感じるようになり、創業を決意しました。
高級志向で限られた人だけに届く商品ではなく、広くたくさんの人に知ってもらえるような、カジュアルで少しポップな、格好いいような可愛いような、そんなクラフトチョコレートを提供していきたいと考えています。」
【課題】製造と接客を1人で両立できるか
亀岡さん 「当初の構想では、健康志向の方が多い大都市圏をターゲットにした通販を考えていました。そのため、まずはチョコレートを作る工房が必要だと考えていたのですが、運良く道の駅のすぐそばの物件が見つかり、方針を転換して店舗も併設することにしました。観光客が集まるところなので、土産品として販売できると考えたためです。
お客様と直接コミュニケーションを取りたいと思っていたので、その点ではちょうど良かったのですが、製造から接客まで、全て1人でやっていくことに不安が生まれました。独立前に働かせてもらっていたチョコレート店では、製造と接客を別の人が担当していたため、それを1人で両立するためには生産性を高める必要があります。」
【導入】POSレジと決済と会計アプリの連携
亀岡さん 「保内町商工会の近藤さんに相談する中で、AirレジとAirペイ、やよいの青色申告オンラインをすすめていただきました。それらを導入することでバックオフィスの効率化を狙っています。」
近藤さん 「他の事業者でも導入実績があり、運営母体もしっかりしているため、安心しておすすめできました。せっかくならば、POSレジからの連携で会計アプリ上の記帳の手間も省きたいと考えていたので、連携可能なアプリ同士であることも条件でした。決済手数料も判断材料のひとつです。」
亀岡さん 「Airレジは自分でも調べていたのですが、アプリ自体が無料で使えて、キャッシュレス決済機能があること、iPadとカードリーダーが無料で貸し出されることもメリットだと感じていました。前の店舗では別のPOSアプリが導入されていましたが、会計アプリと連携できなかったり、動作が不安定なところがあったりしたので、違うものが良いと考えていました。
POSレジの導入にあたっては、運営会社から丁寧にレクチャーしてもらえたことが良かったです。近藤さんに実際に来てもらって一緒に設定してもらえたことも、安心でした。」
【効果】商品登録がとても簡単!
亀岡さん 「店舗がまだオープンしていないため、POSレジは実際に稼働していませんが、商品登録などは試してみました。板チョコは18種類、夏場はドリンクの提供も考えていますが、とても簡単に商品を登録できるので、今後、商品の増減や変更があっても問題なく登録できると思います。レジの操作も簡単で、画面レイアウトや色などの変更もスマートフォンからできるため、普段からスマートフォンでアプリを使っているような人であれば、問題なく使えると思います。
キャッシュレス決済は多くの種類に対応していますが、土産品として買っていただくことを考えると、クレジットカード決済に対応できていることは大事だと思います。お客様が多くなったときにPOSレジの操作で戸惑わないよう、返金処理など決済方法ごとのオペレーションは、事前に練習しておきたいです。
また会計アプリについては、金融機関の口座と自動連携を設定しています。これまでの経費を入力しており、分析もできるようになっています。」
近藤さん 「会計アプリ側に標準で口座連携機能がついていても、インターネットバンキングを金融機関が有料で提供していると、そこでランニングコストがかかってしまい、負担が増えるので注意が必要です。」
【展望】今後の変化にも役立ちそうなIT
亀岡さん 「当面は店舗販売に力を入れていきますが、店舗での売れ行きと、製造能力がどれくらいで安定するかが見通せるようになってきたら、Web通販も準備していきたいと考えています。
また、SNSを活用したプロモーションとして、今はInstagramを利用して工事中の店舗の動画や、チョコレートの写真などをアップしています。
先々はポップアップ(※催事などへの一時的な出店)での販売などもしたいと考えていますし、販売量が順調に増えてくるようであれば、従業員の雇用についても考える必要が出てくると思います。ですが、地域の人口が少ないので、チョコレート店で働きたい人が近隣にいるかどうかは心配です。」
近藤さん 「短時間しか働けない人に入れ替わりで手伝ってもらう選択肢もあると思います。そのような場合には、効率的な教育方法として、動画によるレクチャーの仕組みなどを作ることが必要になるかもしれませんね。」
亀岡さん 「動画を用意することも考えていきたいです。
また、カカオ豆を潰すのに半日くらい機械を回しておく必要があるのですが、常に機械のそばにいて見ることは難しいため、離れていても機械の様子を把握できる仕組みがあると安心できます。
そして、今は在庫管理の方法も模索中で不安があります。地元産品を活用したチョコレートを作るためにいろいろな材料を使いますし、輸入品のカカオ豆は為替の影響から仕入れ値が変動することも珍しくないため、原価管理の仕組みも考えていく必要があります。日々の生産計画を立てるのも、歩留まりを良くすることを考えると結構な手間がかかるので、シミュレーションなどが簡単にできるアプリがあれば役立つように思いますし、こうしたところにもIT活用の余地があると考えています。」
【メッセージ】やりたいことをやれる場を創る
亀岡さん 「地方では、働ける場所が限られていて、新しいことをしたいと思っても適切な職場がないということがあると思います。私も、転職先探しに苦戦しましたが、出会いの中で「これだ」という直感によってやりたいことが見つかり、創業を決意しました。
やりたいことが見つかったら、それを実現する場を自ら創る、という選択肢を持つのも大切だと思います。創業時はお金も人手も足りないことが多いので、ITを活用して効率化できると良いです。」
社名:U CHOCOLATE CLUB
Instagram:https://www.instagram.com/u.chocolate.club/
所在地:愛媛県八幡浜市沖新田1582−6
従業員数:1名
設立:2022年
代表:亀岡 浩美