「LINE@」を通じた刀剣のネット査定により、業界No.1の地位を確立

  • 2020年01月10日
  • 刀剣佐藤(一般社団法人倉敷刀剣美術館)
  • 小売業
  • その他
  • 四国
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刀剣の買取実績が10年連続で国内トップの実績を誇る業界最大手の刀剣佐藤。2019年度は買取数が年間約2000振に及ぶ。かつては店頭での買取と販売が中心だったのに対して、インターネット上での買取を強化したことで、業界のリーダーの地位を確立した。その秘訣の一つは、ホームページの特化戦略。買取や販売、美術館運営、さらには遺産相続のページをそれぞれ独立させたことで、ユーザーへの訴求に成功した。加えて、「LINE@」を活用して、刀剣の画像による査定を展開。これが功を奏して、査定と買取の数が一気に増えたという。それでも「お客様の気持ちに寄り添う買取を何より大切にする」という姿勢を守りつつ、事業の拡大にまい進している。

 岡山県の倉敷市内にて「倉敷刀剣美術館」を運営するとともに、刀剣などの買取と販売に従事しています。約16年にわたり親族が経営していた刀剣商にて厳しい指導を受けつつ、刀剣鑑定の技術を磨いてきました。日本が世界に誇る刀剣を次世代に継承していくため、お客様の目線に立った事業を通じて、文化財である刀剣の保護に貢献できればと考えています。

 当然ながら、信用が第一のビジネスであるため、刀剣に関する見識と鑑識眼の向上に常に努めつつ、時代のニーズに的確にお応えすることを重視しています。近年では、刀剣の相続に関するご相談が増えていることから、司法書士や弁護士、税理士、公認会計士などとの連携を通じた生前整理や贈与、遺品整理、相続のご相談にも応じています。
 実は約10年前のリーマン・ショック以降、刀剣の需要が減少傾向にあります。これに対して、当社ではそれまでBtoC(一般消費者ビジネス)が主体であったのに対して、刀剣商などを対象にしたBtoB(企業間取引)へとビジネスモデルを大きく転換したことで、新たな成長の足がかりを得ることができました。また、地元のつくぼ商工会の経営指導員の方々による支援を受けて、インターネットビジネスに磨きをかけてきたことも成長を促す力となっています。

【課題】ホームページのメールでは容量不足が深刻に

 ビジネスにおけるインターネットの可能性については早くから期待しており、当初、ホームページの更新は自力で行っていました。その後、つくぼ商工会が運営している「吉備きびスクエア」という受注サイトに出店するなど、刀剣業界の中では動きが早いほうだったと思います。
 刀剣の買取は、ホームページのメールを利用して画像を送っていただいていました。しかし、画像のファイルサイズが大きすぎたり、枚数が多すぎたりして、メールサーバーの容量上限を超えてしまうことが何度もありました。
 また、査定依頼が増えるにつれて、査定業務が飛躍的に増えたことも大きな課題でした。直近では年間2000振の刀剣を買い取っていますが、これに至るまでは約1万振を無料で査定しており、その画像点数は数万点に及びます。査定をいち早く正確に行うことがお客様満足に欠かせないことから、メールに代わるツールの登場を期待していたのです。

【導入】宝飾品などの買取を行う知人からネット査定の情報を入手

 こうした課題を何とか解消したいと悩んでいたところ、約7年前に宝飾品やブランド品の買付を行っている知人から、LINEを活用していると聞きました。そこで、何社か店舗オーナーを訪ねて現状について話を聞いたところ、「問い合わせ件数が確実に増えた」とのことで、「これは面白い」と実感し当社でもいち早く取り組もうと考えたのです。何よりLINEの利便性の良さと素早く顧客対応ができる点が大きな魅力でした。
 しかし一方で、LINEを活用した画像査定が本当に機能するのか不安がありました。ほかの美術品と同様に、銘のある作品においては贋作が出回っており、その見極めが最も重要です。これが本当に可能なのか懸念していたところ、つくぼ商工会を通じてLINE側から講師を派遣していただき、インターネット通販に取り組む仲間と一緒に勉強させていただく機会を得ることができました。そこでは何でも気軽に質問できたことから、LINE活用の不安が解消されインターネット上での査定に乗り出したのです。

【効果】買取数が数倍に拡大し、買取額および利益率ともに向上

現在は「LINE@」によるインターネット査定に注力しています。メールと比べ、画像圧縮送受信機能により画像容量の心配がなくなった上、スマートフォンやタブレット端末を通じて、どこでもすぐにお客様対応ができるようになりました。最速では画像を送っていただいた後、1〜2分で査定額をお伝えすることが可能です。また、メールでのやりとりに比べて、一対一で商談のやりとりができることから、刀剣の売却を希望されるお客様に対して特別感を提供できると考えています。
 また、主席査定員である私だけでなく、ほかのスタッフも査定に参加して鑑定技術を高めることで、業務の分担と効率化を実現しています。
 現状では、メールに加えて「LINE@」を導入したことにより、査定依頼が数倍に増えています。また、月間の買取額もメールだけの時に比べ約5倍に増加しています。さらに、仕入れ回転率が飛躍的に向上したことから、利益率も向上しており、BtoBのビジネスモデルへの転換に成功しているといえます。
 なお当社では、何よりもお客様の気持ちに寄り添う買取を重視しており、画像査定の段階で「何万円から何万円の範囲で買い取ります」とお伝えすることを心がけています。実際、現物を拝見した際には、範囲金額の中でできるだけ高い買取価格を提示しており、こうした取り組みが多数のお客様のご支持につながっていると思います。

【展望】日本が誇る刀剣の真価をこれからも広く伝えていきたい

 まずはホームページの特化戦略にさらに磨きをかけて、お客様本位のビジネスモデルを追求していく考えです。それに加えて、かつて当社の主たるビジネスであった刀剣愛好家への販売というBtoCを復活させていきたいと思っています。刀剣とは時を超えて日本人の精神を伝承していくものであります。刀剣を大切に所持し、折に触れて鑑賞することで心の安らぎを得られるという、ほかの美術品にはない価値を有しているのです。こうした価値を広く伝えていくのは、業界のリーディングカンパニーとしての使命であると考えます。

 また、刀剣の買取でお客様のご自宅をお訪ねすることがあります。その際、刀剣以外の陶磁器や絵画、掛け軸といった美術品の売却を希望される方がいらっしゃるのですが、刀剣以外の鑑定技術は十分持ち合わせていないため、対応し切れていないのが現状です。いずれはこうした分野にも買取の領域を広げていくことで、遺産相続をお考えのお客様へのさらなる貢献を目指していきたいと思います。

社名:刀剣佐藤(一般社団法人倉敷刀剣美術館)
主な事業:刀剣の買取、小売、卸売、鑑定。倉敷刀剣美術館の運営
所在地:岡山県倉敷市茶屋町173
従業員数:8名(一般社団法人とあわせて)
設立:1997年
2012年「おかやまIT経営力大賞 優秀賞」受賞
代表 佐藤 均 氏

情報提供などのビジネスの支援に加えて、仲間づくりにも注力(支援者の紹介)

赤磐商工会(旧 つくぼ商工会)
原地 慶充

 刀剣佐藤様とは、つくぼ商工会が「吉備きびスクエア」を立ち上げて以来のご縁です。当時はまだ対面販売が中心のビジネスモデルでしたが、時代の変化に対して敏感であり、しかも「やる」と決めたからには行動が早いのが印象的でした。当商工会としても、刀剣佐藤様のようにやる気のある事業者様を積極的に支援しており、これまでさまざまなセミナーなどを開催してきました。
 インターネットビジネスは可能性が大きい反面、日々の業務はひたすらパソコンの画面と向き合う孤独な仕事です。もちろん、画面の向こうには大勢の見込み顧客がいらっしゃるのですが、成長軌道に乗るまではそれをなかなか実感できません。
 そこで当商工会では、情報交換や講師派遣に加えて、仲間づくりにも注力しており、孤立しがちな事業者のモチベーションアップを心がけています。そして、刀剣佐藤様のように成功者が一人でも多く現れることで、互いに励まし合い、刺激し合う契機になると考えます。
 佐藤社長には今後ますますのご繁栄をお祈りするとともに、地域におけるインターネットビジネスの先駆的存在として、これから挑戦していこうとするベンチャーやスタートアップの方々に対する伝道師としての活躍を期待しております。