今から約190年前のこと、江戸時代の天保元年、布団がまだ特権階級のみの贅沢品だった頃、初代の岩田市兵衛が京都三条にて寝具の店を開いたのが当社の起源です。おそらく国内最古の寝具あつらえ専門店かと思います。
代々、時代をリードしてきたものづくりが特徴で、祖父および父ともに新しいことに挑戦してきました。たとえば、1963(昭和38)年に羽ふとんの専門メーカーを新たに設立し、日本における羽ふとんのブームを牽引したのが当社でした。
こうした伝統を受け継ぎ、私の代でも時代の要請に応える新たなものづくりを追求しています。2019年は「健康増進を支える新ベッド等の開発とマーケットの開拓」が、京都府のヘルスケア関連事業計画に認定されました。
また、京都大学との産学連携を通じて、チンパンジーの寝床研究から生まれた「人類進化ベッド」が、京都商工会議所の「知恵ビジネスプラン」に認定されています。持続可能な社会の構築を目指す取り組みが評価されて、「これからの1000年を紡ぐ企業」(京都市)にも認定されました。
【課題】手書き発注書作成の手間やミスを解消したい
当社では、健康的な一生を過ごす上で良質な睡眠が不可欠という考えのもと、お客様の注文をいただいてから寝具をつくるオーダーメイドを重視しています。羽毛や綿、動物の毛をはじめとする素材は国内外から選りすぐりのものを用い、すべて国内で製造しています。
それだけに一つひとつの注文については、品番や色、サイズなどお客様のご要望にきめ細かく対応しており、その分、工場への発注書の作成にはたいへん手間がかかります。そこで、受注から生産、発送に至る過程で業務の効率化が大きな課題となっていました。
また、従来、手書きの発注書を作成し、それを滋賀県にある工場にファクシミリで送るという段取りでした。そのため、文字の読み取り間違いによる、発注ミスが生じることがありました。こうした課題を解消すべく、ICT(情報通信技術)を導入しようと決断しました。
【導入】店舗でも工場でも使いやすいWeb受発注システムを導入
オーダーメイド中心のビジネスを展開する当社にとって、最も役立つものは何か? さまざまなシステムを比較検討した中で選んだのが、Web受発注システムの「MOS」です。元々、酒販店のシステムとして開発され、ファクシミリを用いて商品を発注する業界で重宝されていると聞きました。
これを選んだポイントとしては、店舗および工場のいずれでも使いやすいシステムであることです。若手から中高年までさまざまな社員がいる中で、だれでも直感的に使える点を重視しました。また、操作画面を従来のファクシミリ用紙の書式に準じたレイアウトにできる点も、社内で無理なく普及する上で役立ったと思います。
加えて、「MOS」の導入にあたって、工場での研修を行いました。こうした取り組みを経た結果、比較的スムーズに導入することができたと思います。
ちなみに、導入に際してはIT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)を利用しました。
【効果】オーダーメイドの発注書の手間を大幅に軽減
「MOS」を導入して約3年となります。このシステムの便利な点は、業種業態ごとに独自のオプションを組み合わせることができ、自社の商慣習に合った使い方ができる点です。当社としては、お客様から承った注文内容をパソコンの画面上で入力することで、店舗から工場に発注指示を出すことができます。これによって、手書きファクシミリに比べて発注ミスを大幅に減らすことができました。
加えて、店舗での業務の省力化を実現しています。それまでは手書きの発注書を作るのに知識と経験が求められましたが、現在では画面を見ながら容易に発注書を作成できます。慣れてくると今まで面倒だった発注業務を迅速に行えるようになり、その分、工場でも対応が素早くできています。また、店舗に新人が入ってきたときの研修の手間も減ったと感じています。
【展望】ものづくりの伝統を守る一方、ICT導入による革新で攻めていく
当社では、竹を素材に用いたベッドの新製品を発売するなど、新たな需要の開拓に向けて積極的に取り組んでいます。品質重視と安心安全で、しかも環境負荷の少ない製品に対しては、国内外の個人のお客様に限らず、高級ホテルなど法人のお客様からも引き合いが相次いでいます。こうした状況を踏まえて、今後は受発注システムの導入に続いて、顧客管理システムの新たな構築を進めていく考えです。
現状では、店舗ごとに顧客管理を行っており、全社で顧客情報を共有できていません。これを改善することで、増え続けているお客様へのきめ細かい対応を図っていきたいと考えています。
当社は、190年の老舗とはいえ、同じことを続けてきたわけではなく、時代ごとに新しいことに挑戦してきたからこそ、現在の姿があるといえます。これからの時代、素材やものづくりへのこだわりという伝統を大切にする一方、ICTの積極的な活用という革新を進めていきます。そして、お客様に製品を末永くご愛用いただくとともに、企業として持続的な成長をめざしていきたいと願っています。
社名:株式会社イワタ
HP:https://www.iozon.co.jp/
所在地: 京都市中京区柳馬場通御池下ル柳八幡町65 京都朝日ビルディング7F
従業員数:40名
設立:1963(昭和38)年(創業:1830(天保元)年)