ITプラットフォームへ移動

手作業に頼っていた測量とデータ処理にITを導入、業務効率を大幅に向上

  • 2020年02月14日
  • 株式会社 北田木材
  • その他
  • その他
  • 関東

目印のない山に入っての測量作業には、地形図を読みながらの現在地の特定、習熟が求められる測量機の操作など、あらゆる場面で経験が求められます。北田木材はそうした作業に簡易GPS測量機を導入し、現場での作業からデータ処理までを大幅に効率化しました。

北田さん 「弊社は昭和36年、私の祖父が創業しました。『生きている木だからこそ、大切に扱う』を信念に、国有林、民有林の間伐、主伐による素材の生産、建設工事に付随した立木の伐採、森林整備にかかわる調査やその実施など、林業全般に事業を展開しています」

【課題】測量作業への慣れ、データ管理の手間に大きな課題が

北田さん 「国や県の森林整備に対する補助金の申請では、『ここからここまで作業しました』という、測量データを含んだ報告書が求められます。山に入っての測量は二人一組で行いますが、山で地形図と地形を照らし合わせて自分のいる場所を特定できるようになるにもかなりの経験が必要となりますし、測量作業自体への習熟も不可欠です。また、デジタルレーザーコンパスで測量したデータは、目で読み取り紙に手書きしていましたが、悪天候時には紙が濡れ作業効率が低下する上、文字が見えにくくなるという難点がありました。さらにオフィスに戻ってメモしたデータを専用のソフトに打ち込み、報告書を作るというプロセスにもかなりの手間がかかっていました」

【導入】簡易GPS測量機の導入で経験を問わず作業できる環境を

北田さん 「ITの導入により、これら一連の作業の効率化を考えました。本格的なデジタル測量機はかなり高額になりますが、森林整備事業ではそこまでの精度は求められていません。そこでインターネット検索や、元請けとなる森林組合のアドバイスや見本市での試用を経て、『Jitsuta』の簡易GPS測量機『ARUQ』を導入しました。とくに重視したのはわかりやすい操作性です。さきほど申し上げたように、従来の測量作業には習熟が必要で、誰でもすぐに出来るわけではありません。しかしITによる“わかりやすさ”があれば、不慣れな人とでも作業を進めることができて、生産性が高まると考えたからです。その上で、もともと使っていた測量ソフトや、県、町から支給されるデータとの互換性も検証しました。また導入にあたっては、静岡県の『小規模企業経営力向上事業費補助金』を活用しました。こちらはハードウェアも対象なので、国の『IT補助金』より有利だったからです」

【効果】現場の作業もデータ転送&処理業務も大幅に効率化

北田さん 「『ARUQ』は“簡易”と言いつつも、GPSの精度はかなり高く、条件が良ければcm単位、山の中でも数mの誤差で現在地の特定が可能です。『ARUQ』のディスプレイに、あらかじめPCから転送した地図を表示し、それを見ながら地点をプロットしていくだけで、ほぼ正確な作業範囲を書き込むことができます。オフィスに戻ってからの作業も、従来のように数値を打ち込む必要はなく、PCに転送するだけですぐに使える測量図となります。これにより現地での時間当たりの測量作業量が1.5倍になり、オフィスでの測量データの取りまとめにかかる時間も半分に短縮されました。またこの効率化により生まれた時間で、森林整備品質や伐採木の搬出効率も大きく向上しました」

【展望】今後は作業報告、労務管理にもITの力を

北田さん 「『ARUQ』はまだ導入したばかりで、使っていない機能もあります。今後はデータの蓄積による山の“定点観測”にも役立てていきたいと思います。またPCには『ARUQ』のデータを取り込み、印刷する『Assist Office』の機能限定版をインストールしていますが、将来的にはGIS(地理情報システム)を活用した業務でのフル機能版の活用も考えています。一方、作業報告や労務管理へのIT導入も検討しています。やはり林業の現場はITに距離のある人が多く、すべてが紙ベースになっています。選択式のメニューなど、誰もが使いやすいインターフェイスで業務日報を作成し、クラウドベースで管理できるなど、作業と管理の効率を大きく向上できるようなスマートフォンアプリの登場に期待しています」

社名:株式会社 北田木材
HP:http://kitada-r.jp/

代表:代表取締役 北田 隆良
所在地:静岡県駿東郡小山町竹之下1019-2
設立:昭和36年10月
従業員数:5人
事業内容:森林整備、木材販売

(支援者の紹介)

安藤さん「今回は北田様のご相談を受け、静岡県が公募していた『経営力向上事業費補助金』の活用を提案いたしました。静岡県商工会連合会の広域サポートセンターの広域サポートセンターと連携しながら申請内容をブラッシュアップしましたが、高度に専門的な分野での支援は初めてで、イメージ作りに苦労しました。ただ、北田様がこれまでも各種補助金を積極的に活用し、申請書作成にも慣れていらっしゃったことで、スムーズに進行できたと思います。この地域は人口が減少し、かつ少子高齢化も進んでいるため、高い年齢層の方がビジネスの現場で頑張っていますが、そうした方々の中にはITに抵抗を感じる方も少なくありません。私は日々会員様の事業所に足を運び、そうした方々に生産性向上にどう取り組むか、そしてそのためにITをどう活用するかをご案内しています。そうしたお話のなかから、それぞれの会員様に合ったご支援が見えてくると思っています」

アプリ導入に向けて課題を整理するなら!IT経営サポートセンター

事例に関連するアプリ