弊社で製造しているコネクターは自動車のエアバックやノートパソコンなど、様々な分野で利用されています。主な用途は、産業機械や自動車、カメラ、センサーなどです。
同業他社では、大量に部品を作るところが比較的多いのですが、弊社では少量から部品を作ったり、複雑な形状のものを作ったりと、差別化を図るうえで独自の対応ができる体制をつくっています。こうした他にはないオンリーワンの対応力が強みです。
【課題】機械の異常が発生した時刻が分からずに困っていた
これまで使用していた機械は、目視による確認を行う必要があり、社員が出社している時間しか稼働できませんでした。従業員のいない夜間も稼働し続けることができれば、より生産効率が向上すると考え、24時間体制で稼働できる機械を新たに導入しました。従業員がいる間は確認しながら動かしますが、それ以外の時間は無人で稼働できるシステムを搭載しています。しかし、新たに導入した機械は、朝従業員が現場に来ると止まっていたり、思った通りに製品が仕上がっていなかったりといった不具合が何度か発生しました。このような不具合を防止するために、機械を遠隔からでも管理できる方法がないかと探していましたが、弊社の規模に見合ったコストのシステムは、なかなか見つかりませんでした。
【導入】作業が終わったかどうかを遠隔で確認できるITシステムを導入
コストの問題を解決すべく、補助金を活用して遠隔操作が可能なシステム(IoT)を導入することに決めました。このシステムの導入により、機械に異常が起きた時刻を特定でき、製作の精度が向上しました。
従業員に対しては、作業状況を見ることができていなかったので、機械に設置したようなシステムを使って従業員の管理体制の見直しができないかと考えました。ただし、監視になってしまうことは避けたかったので、作業が終了した段階でそれが見える化できるようなシステムを探していました。
機械の稼働監視などを含めて、大塚商会さんに相談しました。要望したのは、カスタマイズができること、そして一台のモニターで全体が分かるシステムが欲しいということです。それを受けて大塚商会さんが提案してくださったITシステムは、カスタマイズ性があり、時間軸がわかるガントチャートの機能があったので、利便性の観点からも導入する決断に至りました。
また、全体作業をモニタリングするために、各作業員がシステムに情報を入力したり、報告をする必要があります。ツールへの入力は普段の作業にプラスαなので、慣れるためにランキング制にして賞金を出す等、全員参加を促すような工夫をしました。
【効果】確認作業が簡単に行えていることに効果を実感
弊社は、建物が長方形で奥行きがあるため、業務の確認でそのつど場所を移動するのが非常に大変でしたが、今ではITツールの導入により、画面を見て機械の並び順と照らし合わせた確認作業ができるので無駄な動作が減りました。今まで現場の責任者は、生産、修理、現場管理、製品出荷などの各担当者に対して確認作業がありましたが、確認の工数が減り、気持ちの面でも楽になったのではないでしょうか。異常が起きても報告を待たず、ボタンを押して伝えることができます。翌日でなければ分からないという事もなくなり、納期遅延のリスクもかなり抑えられています。また、確認作業などの工数が減った分、社内のコミュニケーションも円滑に図れるようになりました。従業員からも便利で助かっているという声が寄せられています。
因みに、ITツール導入による業務効率化により、残業は月の平均で250時間ほど削減され、ひとり当たりの生産性も大きく向上しました。従業員の就業環境の改善等、社内の働き方改革にも大きく寄与したと実感しています。
【展望】より効率的な業務のために、今後もITを積極的に導入したい
現在社内でITに興味のある人を集めて勉強会を開催しています。また、社内コミュニケーションのさらなる円滑化に向けて「Slack」など、業務に生かせるITツールについては積極的に導入を検討していこうと考えています。
ITツールの導入に取りかかった3年前に比べると、IT導入のハードルは下がっていると感じています。やりたいと思う気持ちひとつで始められるので、興味があるならば一歩踏み出すことで、変えられることは沢山あるはずです。
社名:杉並電機株式会社
代表:福田礼彦
主な事業:コネクター用の端子を中心に、超精密金型の設計・製作から
精密高速自動プレス機による部品を加工
所在地:東京都羽村市緑ヶ丘3丁目5−12
創業:1956年07月