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IT導入で宿泊業界の常識を覆す老舗旅館

  • 2021年01月27日
  • 株式会社一の湯
  • 宿泊業
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  • 関東
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株式会社一の湯は箱根に本社を構え、宿泊業を営んでいます。従業員が幸せに働ける労働環境を整備するために、リモートツールやコミュニケーションツールなど、積極的にIT導入を行っています。

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左から、組織開発部:今泉正行さん、営業部:大野正樹さん

弊社は旅館業、宿泊業をしております。創業は1630年で、今年391年目を迎えた歴史ある旅館です。箱根の旅館の中でもリーズナブルな価格帯でお部屋を提供しており、多くのお客様が気軽に宿泊していただける旅館を目指しています。箱根を中心にチェーン展開をしており、チェーン展開している部屋をすべて合計すると238室を保有しています。幅広い層のお客様にご満足いただけるよう、さまざまなタイプのお部屋をご用意しています。特に人気を集めているのが、露天風呂付き客室です。ご宿泊いただいたお客様からはコストパフォーマンスの高さを評価していただいております。

【課題】不本意な退職を防ぎ、長く幸せに働ける職場環境を目指していた

我々宿泊業やサービス業というのは、世間一般的に、土日祝日はお客様が宿泊に来るので休めない、有給が取りにくい、拘束時間が長いなど、労働環境がよくないイメージを持たれていると思います。そしてそのイメージは残念ながら、当たっている側面もあるのが現状です。弊社は「常に前進、常に変化」という経営理念を掲げ、業界の常識にとらわれることなく、従業員にとって働きやすい環境を作っていきたいという思いが強くありました。
そんな中、とある女性社員が結婚を機に退職するという話が浮上しました。ご本人は仕事を続けたいという気持ちがあったものの、転居を伴うご結婚であったため、やむを得なく退職を希望するとの申し出でした。そこで、この事例を機に、従業員が長く幸せに働けるような選択肢を増やすにはどうしたらいいかを考えるようになりました。

【導入】前進と変化を求め、1カ月というスピード感でリモートワークを導入

社内で調査や検討を行った結果、リモートワークを導入することにしました。宿泊業は接客業務が多いためリモートワークが不可能と思われがちですが、中にはリモートで対応できる業務もあります。例えば、弊社では現在7割のお客様がインターネットで宿泊予約をするので、予約や顧客の管理システムを使う作業が多く発生していますが、こうした業務であれば、リモートでも対応可能であると判断しました。
リモート接続ツールは価格、仕様、信頼性などを総合的に判断し、「マジックコネクト」を採用しました。またそのほか、コミュニケーションツールとして「LINE WORKS」を導入し、在宅勤務開始前から利用していた電子版マニュアルの「Teachme Biz」を活用しました。こうしたシステムの選定から始まり、規定の精査やトレーニングを行い、1カ月ほどでリモートワークへのスムーズな移行を実現しました。
弊社には、「常に前進、常に変化」という経営理念に共鳴した、新しい取り組みに対する抵抗がない従業員が集まっているため、みんな非常に前向きな姿勢で取り組んでくれました。そのため、特に苦労することもなくシステム導入を完了することができました。

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【効果】場所の制約がなくなったことが、人材確保に大きく貢献

退職予定だった女性社員は、無事にリモートワークで勤続しています。その後、妊娠中も本人の希望で予定日に近づくまで勤務しました。「在宅でなければ仕事も続けたいと思わなかった。自宅で身体をいたわりながら、予定日が近づくまで働けて助かった」とコメントしてくれています。現在は育児休暇を取得中で、リモートワークで復職する予定となっています。また、現在はもう1名がリモートワークを適用し、遠方にいながらも働いてくれています。勤続の意思がありながらの退職というのは大変残念なことですし、会社としても貴重な人材を失うことになります。だからこそ、選択肢を増やせたことは弊社にとって大きな進歩です。リモートワークのほうが、かえって集中できる業務もあります。適材適所で働いてもらえる、組織としてよい環境になってきたと感じています。
また2020年3月から、Webでの新卒採用を開始しました。ちょうどコロナの影響が深刻化してきた頃であり、他社ではWeb化するべきかどうか検討している段階であったと思われる中、かなりスピード感のある対応ができたと考えています。その結果、説明会参加者は前年の10倍になり、応募者数も7倍ほどに増加しました。コロナ禍で旅行業界は厳しい状況ではありますが、弊社では採用人数の削減は行わず、2021年4月入社の新卒社員は前年の2倍となりました。これもリモートワークをすでに取り入れており、ツール等に馴染んでいたからこそ可能であったと考えています。

【展望】経営陣が方針を示すことで、会社全体が同じ方向に進んでいける

弊社の場合、経営陣が方向性をハッキリ示していることが、IT導入に成功した要因だったと考えています。従業員の労働環境の改善に対して強い意志を持ち、そのために新しいことに前向きに取り組むという、共通の意識が根付いているのです。だからこそ、従業員全員が同じ方向を向き、力を合わせることができました。
IT導入は今後もあらゆる面で不可欠です。リーズナブルな価格で多くのお客様に何度でも気軽にご宿泊いただくことを目指している弊社は、不要なコストを削減し、生産性を高め、価格で還元するというのが大きなミッションです。今後もあらゆるツールを活用し、従業員が働きやすく、お客様に満足いただける、両者が幸せになれるような環境を追求していきます。

社名:株式会社一の湯
HP:https://www.ichinoyu.co.jp/

代表: 代表取締役社長 小川尊也
主な事業:温泉旅館のチェーン化経営 保養・研修施設の食堂運営の業務受託
所在地:神奈川県足柄下郡箱根町塔ノ沢90
創業:1630年