当店は昭和20年前半に立ち上げた老舗で、約75年の月日をかけ、創業者から代々店を受け継ぎつつ進化を遂げております。佐世保市内にて長年経営を続けていることもあり、お客様は佐世保市内の方が約7割を占めています。
そのようなお客様をはじめとして、当店こだわりの質と鮮度の高い国産の生花を気に入っていただけています。店舗では、常時60種類から70種類の生花を販売しており、ご葬儀の時の供花スタンドやウェディングのお花など、近隣の花屋さんでは対応できないような大掛かりな案件にも積極的に対応させていただいています。
【課題】お客様の情報を載せている台帳の管理が大変だった
お得意様から「去年母の日に送った花の種類を教えて欲しい」、「昨年の8月くらいにお花を買ったが、どういったものを買ったのか教えて欲しい。」などとお問い合わせをいただくことがよくあるのですが、そのような時には手書きで管理している古い台帳から情報を探さなければいけませんでした。台帳は1年間で15〜16箱分にも及び、それらはすべて倉庫に保管してあります。膨大な量であるため探す際にはスタッフ全員で手分けをして探していました。このような作業については、非常に効率が悪いと常々感じておりました。
【導入】きっかけはファックス機が壊れたことだった
IT導入のきっかけは、実はファックスが故障したことでした。修理を依頼しようと富士ゼロックス株式会社様に相談した際に、当初相談しようと考えていたファックス以外のお話も聞いていただき、デジタル化に関する相談をする運びとなりました。
IT導入における費用は当店にとっては決して少なくない額だったため、決断に至るまでは何度も打ち合わせを重ねました。結果として導入を決めたのは「Zoho CRM」です。決断に至った一番の理由は、ITが苦手な人でもシステムを扱えそうだと感じたことでした。それに加えて、富士ゼロックス株式会社様のサポートが非常に手厚かったことも決断の後押しをしました。システムは2020年8月に導入し、取り扱い方について講習を受けました。2週間マンツーマンで講習を受け、1ヶ月ほどで従業員が扱えるようになりました。このように、手厚いサポートがあったので、スムーズに導入が進められたと感じています。
【効果】ITでお客様情報を管理、さらに最適な提案を目指せるようになった
「Zoho CRM」の導入によってまず感じられた効果は、お客様に商品の提案がしやすくなったことです。これまでお客様がどのような花を購入していたかがひと目で把握できるため、それぞれのお客様に寄り添った提案を出来るようになったと感じています。加えて従業員がデータを整理できるようになりました。お客様の情報が整理され確認しやすくなったため、お客様とのやり取りでミスが少なくなりました。花はかなりの種類があるので好みは一人ひとり違います。その情報を管理できるようになったことで、お客様からのリアクションが非常に良くなりました。現在は新型コロナの影響により店頭にいらっしゃるお客様が減少しています。しかし、そのような中でもご利用いただいているお客様の情報を、IT活用を通して蓄積していきたいと考えています。そして、さらにお客様にとって最適な提案を目指していきたいです。
また、残業が少なくなったことも効果の一つです。これまでは台帳への顧客情報の書き込みを手書きで行っていたため、非常に時間がかかっていました。お客様の購入情報などを一つひとつ書きとめ、データとして蓄積していくという煩雑な作業が多くて大変でした。これらの作業をシステム上で行えるようになったことで、情報の整理が格段に容易になり、業務時間を削減することに成功しています。
【展望】ネットでの花の販売を拡充していきたい
これからは、店舗販売だけでなくECサイトの更なる活用を進めていこうと思っています。店頭での販売は営業時間が限られているので、それ以外の時間でお客様は花を購入できません。そのため、ネットを通じて24時間販売できるシステムを取り入れようと考えています。花の写真や商品を今のシステム上で撮りためているので、それを活用していく予定です。
また、当店のような中小企業にとって大きなシステムを取り入れることは、コストの面などから大きな決断を伴うものです。私は、国の補助金を活用して導入を実施しました。このような手段もあるので、IT導入をしていない企業や悩んでいる企業には敷居を高く感じずに積極的に始めてほしいと思います。