仮想サーバーシステムでテレワークのセキュリティ問題を解決

弊社は、研究開発従事者の人材派遣サービスという専門分野に特化しています。業界内での競合は数社しかなく、ピンポイントで欲しい人材が見つけられるという強みを持っており、多くのお客様に高評価をいただいています。また、近年では食・ヘルスケア業界以外にも、バイオや化粧品業界にも特化業界を拡大しており、年々利用者は増加傾向にあります。
人材サービスを提供する企業の中では、規模的にそれほど大きくはないですが、業界特化型の派遣サービスであるため、一人ひとりに対するサポートに注力できるメリットはあります。そのため派遣社員の退職率が低く、長年勤めている方も数多くおられます。転職サービスでも、企業側と転職側に対して同一の営業担当が対応しているので、企業が欲しい人物像に合ったターゲットに対してスカウトすることができています。

【課題】デスクトップを使う内勤の従業員がテレワークできる方法を探していた

弊社ではかねてより働き方の見直し、具体的にはアナログからシステム化やクラウド化を進め、会社に来なくても仕事ができるような環境を整えることを検討していました。これまで、優秀な人材が家庭の事情などで出社できなくなり辞めてしまったり、採用したいと思う人材が遠方に住んでいて物理的に通えないことがあったからです。
しかしデジタル化を考えたときに、内勤のスタッフが持ち運び可能なノートパソコンではなくデスクトップのパソコンを使用しているため、どのようにテレワークをするかということが問題になりました。ノートパソコンを購入するなどの幾つかの対策を考えてはいましたが、決め手に欠けている状態でした。
そんな中、システムサポート担当者から仮想デスクトップサーバーの提案があり、まずは4名の社員が自宅から仮想サーバーにアクセスして仕事をするように試みました。個人情報を扱う会社であるため、個人のパソコンに情報が残らない仮想サーバーが適していたことが一番の決め手となりました。

【導入】リモートワークの実現に向けた仮想サーバーの導入

仮想サーバーの設置は業者にお願いし、仮想デスクトップ内へアプリをインストールする作業を進めました。仮想デスクトップに関する知見が無くても、パソコンを購入する時と同じ感覚でシステムプロバイダーの方に対応してもらえたので、導入自体に難しさは感じませんでした。
テスト運用では、会社のデスクトップで直接作業することを禁止して、リモートで仮想サーバーからログインして使用するというルールを設けました。その結果、モバイルパソコンから直接仕事するよりも情報漏洩や管理面のリスクも少なく感じられました。仮想環境の動きや精度は全く問題なく、自宅のWi-Fiさえ安定していればスムーズに作業が進められます。

【効果】固定コストの削減、従業員の満足度UP

主な効果としては、全社員がテレワークを活用したことで出社率が下がったことです。そのため、広いオフィスが必要なくなりました。今のオフィスは、2018年に移転していますが、前のオフィスより坪数を減らしてコンパクトにすることができました。近くに東京駅などがあるアクセスしやすい場所に移転したことで社員が通いやすくなり、従業員にとって働きやすい環境に変化しました。
また、退職率が下がり、従業員に働きやすさを実感してもらえたことにも効果を実感しています。例えば、配偶者の転勤などをきっかけに退職しなくても働けるなど、正社員が退職を選択肢に入れないで済むという施策にも繋がっています。2014〜2015年は退職率が25%でしたが、今では毎年退職者はほとんど出ません。
さらに、テレワークを全員に導入した次年度では過去最高益を記録しています。このことで、テレワークでも利益が下がらないことを証明できました。また、社員の交通費が減って定期代の支給がなくなり、経費削減にも繋がっています。お客様とも、テレワークに移行してから問題が起きることはありませんでした。

【展望】常に新しいITサービスを試してみたいというスタンスに

ITの世界には選択肢がたくさんあります。そして様々な選択肢の中から自社の業務業態に適合したものを探さなくてはなりません。ITと聞くと難しいイメージがありますが、ITと組織との親和性を高めることで、システムによる自動化などで業務量が改善され、他のことに目を向けることが出来るようになりました。最近のITサービスは、使いやすいように工夫されているので、実際に色々なサービスを使うと新しい発見があり、新しいナレッジが増えていきます。
国の助成金を積極的に活用しつつ、今まで導入したことのないシステムなども取り入れていきたいと考えています。ITシステムを通じて得る経験やナレッジは私たちの強みとなり、企業の成長に繋がると確信しています。