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IT導入で余裕を生み、付加価値戦略の土台にする

  • 2021年01月20日
  • カホク運送株式会社
  • その他
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  • 業務アプリ作成
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  • 東北
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カホク運送株式会社は宮城県仙台市にて営業する運送会社です。手作業で多くの情報を処理しており、非効率的且つミスが発生しやすいことに課題を抱えていました。そこでIT導入により事務処理の効率化と情報の可視化を図りました。

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代表取締役:佐藤俊一さん

弊社は運送業を営んでいます。主な配送物としましては一般雑貨や温度管理が必要な食品などが中心で、BtoBのみのお取引を行っています。弊社の強みは、定められた時間に、定められた場所を、定められた速度で通過するという「定時定点輸送」です。普通のことのように思われるかもしれませんが、我々運送業にとって普通であることは大変重要です。配送トラックは1日に複数の現場を回るため、1つの現場で時間が遅延すれば、すべての現場に影響が出ます。お客様のご都合であったり、道路の状況であったり、何が遅延に繋がるかわかりません。そのため、運転手と事務所の従業員がコミュニケーションを取り、何かあれば早めに対処することで、大きな遅延に繋がらないようにしています。

【課題】アナログな手法ゆえに無駄な業務が発生していた

弊社ではもともと1日400件ほどの注文をFAXで受け、それをパソコン上のシステムに手作業で入力していました。ただでさえ時間が掛かっているうえに、2重入力などのミスも1日30件ほどあり、無駄な作業が発生している状況でした。
また、トラックの経路を決定する配車業務を、ホワイトボードに手書きする方法で行っていました。翌日の予定を運転手へ伝達し忘れたり、運転手から確認の電話が来たりすると、業務時間外であっても会社に戻って確認をする必要がありました。運転手たちにとっても予定を把握しづらい環境で、モチベーションを下げる要因になっていたと考えられます。
そのほか、トラック運行状況の把握が困難だったことも課題でした。「荷物が届かない」という問い合わせが来たら、その都度運転手に連絡をしていましたが、当然、運転中だと電話を受けることができないので、問い合わせへの回答に時間が掛かっていました。

【導入】中小機構に課題と要望を伝えることでスムーズなIT導入を実現

いくつかの課題を解決する方法はないかと考え、中小機構へ相談に行きました。そこで、戦略的CIO育成支援事業を紹介していただきました。ITを活用した課題解決などに対して専門家からアドバイスをいただけると聞き、支援を受けることに決めました。
時を同じくして、私は富士通株式会社様が主催するITの研修を受講したのですが、その際にRPAとEDIというものに出会いました。RPAとは「Robotic Process Automation」の略語であり、単純な事務処理などをロボットで自動化することを指します。EDIは「Electronic Data Interchange」の略語で、電子データを利用した発注システムです。これは弊社業務に合っているのではと考え、担当の専門家にお伝えしたところ、外部のシステムエンジニアに開発を任せる運びとなりました。そのほか、クラウドサービス「kintone」も薦めていただきました。また、ホワイトボードの代わりに、事務所へ大型モニターを設置し、配車情報や予定表など、共有事項をいつでも誰でも確認できるように変更しました。
日々の業務に大きな変更が加わることなくIT導入を進めていきたいと考えていましたが、こうした要望に沿ってご提案をいただいたので、スムーズに導入できたと感じています。

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【効果】作業効率が格段に向上、見える化による新たな気づきも

さまざまなシステムを導入して4年ほど経ち、効果は明らかに出ています。例えば、受注処理の2重入力などのミスがなくなりました。請求書の処理も、以前は修正などが頻発していたため、確定までに20日ほど要していましたが、自動集計にしたことで、月末の集計時間が30分くらいで済むようになりました。
大型ディスプレイを設置したことも、大きな効果がありました。以前は、私しか配車に関しての全体像を把握できていなかったのですが、画面に表示するようにしたことで、配車情報や予定表など、あらゆる情報を誰でも見ることが可能になりました。その結果、情報共有が格段に楽になり、指示が明確になったと思います。また、全車両に搭載しているGPSから得られる位置情報も見える化を行ったことで、お客様の問い合わせに対する回答スピードが上がりました。加えて、運転手たちにも、センターに見られているという意識が芽生え、これまで以上に気を引き締めて業務に取り組んでいると感じます。以前はミスやロスに注意が向きがちでしたが、コツコツと正確に仕事をする運転手たちには光が当たっていなかったと気づきました。そのような真面目な人たちにこそ注目し、成長の機会を作っていこうという考え方へと自分も変化しました。また、デジタル化により作業時間が減ったことで、知恵を出し合う時間が増えたと感じます。事務所内でのコミュニケーションが盛んになり、持ち越しとなっていた仕事にも着手できるようになりました。
このように、さまざまな効果が相まって、以前は平均100時間くらいであった残業時間が、今ではゼロになりました。

【展望】従業員のアイディアを大切に、付加価値の最大化を目指す

車両や人の拡張はあまり考えていません。売上も大事ですが、弊社は付加価値の最大化を目指したいと考えています。売上や利益の話をすると、コストや黒字・赤字などの数字に追われ、「やらされる感」が出てきてしまうのです。私も昔、そう思っていた時期がありました。細かい制約は一旦置いておいて、「どうやったら付加価値を最大化できるか」を追求すると、途端にアイディアがたくさん出てくるものです。IT導入によって作業時間が減り、思考する時間が増えた分、その考え方を大事にしていきたいです。

社名:カホク運送株式会社
HP:https://www.kahoku-sendai.com/

代表: 代表取締役 佐藤俊一
主な事業: 自社トラックによる配送、運行管理
所在地:宮城県仙台市宮城野区中野1丁目2-15
創業:1957年