ITは幸せになるための道具、WEB知識ゼロからのホームページ制作

弊社では刃物研ぎを専門に行っています。刃物専門店に22年間勤め、研ぎ技術を習得した私が1人で営んでいます。事業内容としては、刃物研ぎの通信販売、スーパー等の催事出展、刃物研ぎ講習という3つの柱があります。包丁はもちろんのこと、彫刻刀、裁ちばさみ、トリミング用のはさみ、かき氷機の刃など、刃物であればさまざまなものを研ぐことができる技術力が強みです。誤った研ぎ方をしてしまうと一瞬で切れ味が落ちてしまう繊細な刃物も、弊社であれば取り扱うことができます。

【課題】訪問方式の刃物研ぎサービスで経費と時間を浪費していた

前職の刃物専門店に勤めていた際、北海道各地でカルチャースクールを運営する道新文化センターから刃物研ぎ講習の講師を依頼されました。実際に講師として出向いてみると、受講料をいただけるうえに、受講生に砥石をご購入いただけるということに、大きなメリットを感じました。そこで、刃物研ぎの講習を中心に事業を行うつもりで立ち上げたというのが、弊社を設立した経緯です。しかし、実際に始めてみると想像通りにはいきませんでした。受講を希望する生徒さんがなかなか集まらなかったのです。そこで、トリミングサロンや衣類の縫製所など、はさみを多用するお店や職場に直接出向いて研ぐという訪問方式へと事業転換しました。そこで問題となったのが、移動にかかる経費と時間です。ガソリン代がかさむうえに、時間効率も悪く、働きに見合う売上を得ることができていないと感じていました。毎日朝から晩まで休憩を取る間もなく働き、家族と一緒に過ごす時間を削られ、「人生、これでいいのか」と疑問を抱くようになりました。

【導入】通信販売事業を開始するにあたり、ブラウザ上で簡単にホームページを作成

私にはITに詳しい友人がいるのですが、あるとき「クリーニング屋が通信販売でうまくいっている事例があるから、刃物研ぎの通信販売もうまくいくのではないか」とアドバイスをもらいました。お客様から切れ味が落ちた刃物を宅配便などで送っていただき、弊社で研ぎ作業を行って、返送するという方法です。私もさまざまな事業を試してみたいと考えていたので、通信販売事業を開始することにしました。そこで必要となったのが、お客様を呼び込むためのホームページです。それまではブログのフリーページをホームページとして使用していましたが、通信販売を行うにあたり、実用性もデザイン性も兼ね備えたホームページを作成する必要が生じました。そこで先ほどの友人から紹介されたのが「Jimdo」でした。これはWeb制作の知識を持たずとも、ブラウザ上でホームページを簡単に作成できるサービスです。ドイツの会社が運営していて、当時は日本に入ってきたばかりの頃だったのですが、その手軽さと高いクオリティが話題になっていたようです。無料で利用できるということにも惹かれ、ホームページ作成を決断しました。ブログに使用していた画像や文章を流用して作成できたので、特に苦労することもなく、2時間ほどでホームページが完成しました。

【効果】SEO対策で通信販売の集客に成功、利益だけでなく理想のライフスタイルも入手

「Jimdo」にはホームページを訪れた人の年齢や性別などを確認できるアナリティクスという機能があります。そのおかげで、SEO対策を行えるようになりました。より詳しいアナリティクスの情報を得るために、途中から有料版に切り替えました。以前は男性のお客様が圧倒的に多かったので、女性のお客様をホームページへ誘導するために「洋服のお直し」「パッチワーク」「ハンドメイド」などといったキーワードを使用してブログを更新しました。すると狙い通り、女性のお客様がホームページを閲覧してくださり、またそれによって依頼が増加したのです。このように、「Jimdo」を活用してホームページを作成したことで、集客力が一段と向上したと感じています。「Jimdo」で作成したホームページの運用を始めて約7年が経過した現在、主要なキーワードでGoogle検索すると、2位から3位をキープできています。
ホームページ新設の本来の目的であった刃物研ぎの通信販売事業は、おかげさまで全国から依頼をいただけるようになりました。現在、訪問方式は完全に廃止しています。ガソリン代よりも配送代のほうが低コストで済みます。さらに、通信販売事業が軌道に乗ってからは、札幌市内で借りていた事務所を解約し自宅で作業を行っているので、賃料の支払いもなくなりました。売上は以前と大きく変わらないものの、経費を削減できたことで、純利益が大幅に増加しました。
通信販売事業をメインにしたことで、自分のライフスタイルもかなり変わりました。移動時間がほとんど発生しなくなったこともあり、労働時間は訪問方式の頃と比べると3分の1以下になり、時間にゆとりができたのです。その分、孫と遊んだり、趣味の読書をしたり、とても充実した私生活が送れるようになりました。

【展望】リピーターに喜んで頂けるサービスを継続していく

お客様の情報や注文の情報などがすべて紐づけされて、請求書が手軽に作成できるようなシステムがあれば導入したいと考えています。世の中にはたくさんのシステムやサービスが存在するので、積極的に情報を取り入れて活用していきたいです。弊社は拡大路線には走らないと決めています。リピート利用してくださるお客様を大事に、喜んでもらえるようなサービスを継続していく所存です。
ITとは、幸せになるための道具だと思うのです。知識がない方にはハードルが高いかもしれませんが、無料で利用できるサービスもたくさんありますので、使わない手はないと考えています。多少の知識を入れるだけで、夢に近づき、理想が手に入ることもあります。それがITを活用するということではないかと考えています。