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ペーパーレス化や自動化でより付加価値の高いものづくり

  • 2020年11月30日
  • 岩手モリヤ株式会社
  • 製造業
  • 生産管理
  • 業務アプリ作成
  • その他
  • 東北
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岩手モリヤ株式会社は、高級婦人既製服の製造を行う会社です。より付加価値の高いものづくりをするためにも、技術力向上の人材育成と共に人の経験・勘・テクニックに頼らない生産性の向上が課題でした。そこでタブレットによるペーパーレス化や作業の自動化に挑戦。ITの力が現場に大きな改革をもたらしました。

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代表取締役社長:森奥信孝さん

弊社は、高級婦人既製服の製造を行う会社です。主に婦人服のジャケット、ウールコート、スーツなどを作っています。岩手県久慈市の誘致企業として1974年東京が本社で「モリヤ洋装久慈工場」創業、1998年に現地法人として「岩手モリヤ株式会社」を設立しました。弊社の強みは特殊な設備と技術力により、品質面で他社と差別化が図られていること です。生地の収縮率を調べる生地試験室や、硬くて扱いにくい生地をリラックスさせるスポンジング機器など、特殊設備を多数保有し、高品質な衣類づくりを実現しています。高級品の定義はブランド力や高価な素材だけではありません。実際にお客様が着てみて「着やすい」「自分に合っている」と感じてくれることが重要です。そのためには、立体感や女性らしさの表現が求められます。仕様書には書いていない、見えない部分にまで手を加えることが付加価値につながっています。
現在の主な取引先は国内外高級ブランドのアパレルメーカーです。目に見えない部分まで手を加えた製品は、お客様からも好評の声をいただいています。プロだけでなく売り場のお客さんでも違いが分かり、最初に手に取っていただけるものづくりを目指しています。

【課題】縫製作業により力を入れるために、各工程で生産性向上を目指したかった

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最初に課題だったのが、生産管理工程における従業員ごとの作業スピードのムラです。生産管理工程では、紙ベースで管理を行なっていました。たとえば1時間あたりの作業枚数を各自が数取器でカウントし、班長がそれぞれの従業員から聞いたものを紙に記録していたのです。記録に当たっては専用のフォーマットなども作っておらず、各自で作業の進捗状況が把握できる環境が整っていなかったため、結果として従業員の作業スピードにムラが発生していました。
またより付加価値の高いものづくりをするためには、人員確保も課題でした。労働集約産業である縫製工場では、あくまで縫製(アイロンやミシンなど)がメインの作業です。その前工程にあたる延反や裁断は直接作業(売上を生み出す作業)ではなく、間接作業(生産に直接関係しない作業)にあたります。延反や裁断の工程にはなるべく人をかけず、縫製作業に力を入れ、付加価値を高めたかったのです。だからこそ、間接作業のIT化による生産性向上と直間比率改善を進めました。

【導入】タブレットによるペーパーレス化と間接作業の自動化

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まずは仕様書を扱う工程を、タブレットでペーパーレス化しました。次のステップとして、生産管理工程もペーパーレス化しています。ペーパーレス化はまずは一部の人たちのみに対して行い、徐々に範囲を広げていきました。もちろん年配の方々は、最初はタブレットの扱いに抵抗がありました。しかし時間が経つにつれて皆が新しいシステムに慣れ、今は社内で当たり前になっています。
続いてパターン作成作業効率向上のために、3D CADによるモデリングを導入しました。これにより、これまではパターン平面データのみで不可能であった完成後を3Dで確認することができます。また延反や裁断時、データ入力は都度人の手で行なっていたのですが、バーコード読み込みによる自動化を図りました。加えてこれまで人が行なっていた機械の操作も、無人化に置き換えています。
もちろんIT導入にあたり、細かな変更は多々ありました。しかし大きな問題はなく、スムーズにIT化を進められました。

【効果】IT導入で生産性が高まり、より付加価値の高いものづくりへ

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これまでは紙ベースで行っていたことにより個人間で作業にムラが生じていた生産管理の工程をタブレットで管理することで、作業者が生産管理上の現状をリアルタイムで明確に把握できるようになり、効率化を図ることにつながりました。たとえば自身が担当している商品の制作目標が何時何分までに 何枚であるといった場合に、目標に対しての進捗状況を個人が把握できるようになりました。ITを導入する以前はこのような各社員の進捗状況を班長に言われて初めて確認していましたがITを導入することによって、自ら把握できるようになりました。これはIT導入による大きな変化であると感じています。
また延反や裁断の工程を無人化したことで、生産性が向上しメインの縫製工程に人を割けるようになりました。結果的に会社全体で生産性が高まり、より付加価値の高いものづくりにつながっています。

【展望】IT化が進む世の中で常に一歩先を見据えた行動を

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これまで弊社では紙ベースのアナログ体制で業務を進めてきましたが、世の中はIoTを始めとした自動運転や電気自動車が当たり前の時代に突入しようとしています。ITシステムの活用による効率化を行うなど、我々も時代とともに変わっていかなくてはいけません。時代の流れに取り残されないように、常に一歩先を見据えた行動が求められていると感じています。そのためにも、ITを活用するなどこれまでのアナログな業務にとらわれない事業運営の取り組みを続けていくつもりです。

社名:岩手モリヤ株式会社
HP:https://www.iwatemoriya.com/

代表:代表取締役社長 森奥信孝
主な事業:高級婦人既製服縫製
所在地:岩手県久慈市夏井町大崎13-3-3
創業:1988年1月

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