システム導入で会計事務所のネクストステージへ

弊社は、「中小企業のライフスタイルをデザインする」というミッションを掲げ、税理士業を営んでいます。会計業務だけでなく、社長が経営していくうえで抱える課題や悩みを解消するために、業務改善に関するコンサルティング業務も行っていることが強みです。他社に対するコンサルティング業務を全うするために社員教育に注力し、お客様から信頼され、多種多様なご相談に対応できる担当者を育てる教育プログラムを実施しています。

【課題】大量の業務量、属人化した業務が生産性を下げていた

以前はとにかく業務量が多く、それをいかに圧縮するかが課題でした。また、細かい知識やノウハウは個人に蓄積されていくため、例えば証票の特殊な入力方法を担当者しか把握していない場合、その者が不在になった際にミスが生じるという問題がありました。このように属人化していた業務を共有する方法を探していました。

【導入】利便性と担当者の熱意に惹かれ、新法人にてクラウド型会計ソフトを導入

2017年頃、マネーフォワード札幌支社の営業の方が、弊社にクラウド導入を提案してくださいました。それまで使用していた会計ソフトはインストール型であり、事務所でしか使用できなかったのですが、「マネーフォワード」はクラウド型なので場所を問わずに使えることと、各種金融機関との連携や自動仕訳ルールなどを使った新しい記帳方法という点に利便性を感じました。
加えて、営業の方の人間性に惹かれた側面もありました。その方はシステムを売り込むのではなく、「このシステムを利用することで中小企業の生産性の向上、業務効率化を進め、北海道経済を活性化させていきたい」といった熱意を持たれていました。また、作業時間を短縮することによって、お客様との信頼関係の構築につながる提案業務などに時間を割けるというお話になり、我々と思いが合致したのです。そんな熱い思いを持った方が薦めてくださるのならと、導入を決意しました。
ところが、社内ではクラウド型の導入について賛同を得られませんでした。実は私が入社する前、過去にクラウド型会計ソフトを導入し、相性が合わずに廃止したことがあったのです。そこで、まず前職の所長から許可をいただき2017年6月にグループ会社としてマネーフォワード導入に関するマッチポイント株式会社を立ち上げました。その後、2019年7月に税理士法人マッチポイントを設立するという流れに繋がっています。
導入に関して特に苦労はしませんでしたが、仕事のやり方が変わったと思います。今までは紙の請求書を見ながら高速で転記するなど、目と手の動かし方が重要でした。クラウド導入後は会計ソフトに取り込みやすい形式で表計算ソフトに入力したり、自動仕分けのルールを構築したり、仕組みづくりのほうがより重要になりました。私には後者の作業がマッチしていたので、スムーズに扱えるようになりました。

【効果】業務上の課題を見事クリア、雇用や営業に意外な効果も

「マネーフォワード」は、テンキーを高速で叩くというような作業が不要で、簡単に帳簿が作成できます。そのため経験が少ない人にも作業を任せられるというメリットがあります。情報共有も容易なため、業務の属人化を解消できました。
また株式会社マネーフォワードが手掛ける「ストリームド」というソフトも利便性が高いです。これは領収書をスキャンすると仕分けデータに変換してくれるもので、まとまった量を処理しても翌営業日には完了します。手作業よりも速く、正確なので、業務効率化の面で大きな効果が得られました。2割から5割ほどの作業が削減されたクライアントもいらっしゃいます。
また、新規顧客の獲得への寄与もあります。クラウド型会計ソフトなど、新しいシステムを導入している会計事務所に会計業務を依頼したいと考えている企業も多くいらっしゃるからです。
社内としては、人材の雇用にもつながりました。求人に「クラウド導入支援」というキーワードを含めたことで、新しい取り組みに前向きな人材が集まってきてくれたのです。これは期待以上の効果でした。また、コロナ禍においてテレワークに移行する際、クラウド型の会計ソフトだからこそ、特別な準備をせずとも移行できました。
そして何より、クラウド型の会計ソフトを導入したことで、今までよりもお客様にご満足いただけていると実感しています。企業の社長は秀でた能力を持った方々が多いですが、会計には疎いという方もいらっしゃいます。ご自身だけの力で時間をかけて処理をしているというケースも少なくありません。そこで、弊社に会計業務を全面的に任せていただき、会計業務に費やしていた時間を営業活動などその他の業務に充てることで、生産性の向上につなげられるのではないかと考えています。また、クラウド型ならリアルタイムで、日々の数字の変動を把握していただけるのが大きなメリットだと思います。

【展望】新しいことに挑戦し続け、日本一の会計事務所を目指す

今後導入を考えているシステムは「DX Suite」のAI-OCRです。スキャンした画像データの文字列をテキストに変換することができます。このシステムと自動化システムを組み合わせれば、反復するような作業を人力でやる必要がなくなります。その分、お客様の業務改善に割く時間をさらに増やしていければと考えています。IT導入は、目的を持つことが大切です。導入することが手段から目的に変わってしまうと、失敗してしまうことが多くあると考えています。導入して何を解決したいのかを明確にすることが重要だと考えています。
弊社の従業員は、1年半ほどで設立当初の3倍の22名体制になりました。今後5年間で400名を雇用し、日本で1番の会計事務所を目指したいと考えています。その途中経過として、まずは「札幌で一番働きたい会社」を目指します。そのために、働きやすい環境づくりやシステム導入を行い、新しいことに挑戦する社風を貫き通します。そして中小企業の社長が抱く「こんな会社にしたい」という思いを実現できる会社にしていきます。