ITプラットフォームへ移動

社員の意見を反映したIT導入で業務効率向上を目指す

  • 2021年01月22日
  • 大鎌電気株式会社
  • 建設業
  • 工事管理
  • 業務アプリ作成
  • 北海道
alt=

大鎌電気株式会社は、北海道函館市で電気工事を営む企業です。もともとは社員数5人で事業を回していましたが、近年事業拡大に伴い、社員数が増加しました。情報伝達や意思疎通ができなくなるという問題を解決するために、新たなITシステムの導入に取り組んでいます。

alt=
代表取締役:大鎌幸雄さん

弊社の主な事業は電気工事です。売り上げの約7割は公共工事で、それ以外の3割は民間向けの仕事をしています。強みとしては歴史の長さです。今年創業76年目で、長年の経験を活かした工事を行うことができます。また、長きにわたって公共工事に携わっており、品質面には自信を持っています。創業は古いのですが、社員の平均年齢は2020年4月時点で32歳と、建設会社の中では非常に若いほうです。この特徴を生かし、若い社員の力も借りながら、ITを含むさまざまな新しい挑戦をしています。

【課題】情報共有の円滑化を図りたかった

私は弊社の社長に就任する前まで、東京の企業に勤めていました。8年前に先代社長の父親が亡くなったのをきっかけに、17年ぶりに函館に帰ってきました。このとき感じたのが、「スタンダードの違い」です。他の地域と物理的に距離のある函館では、私がこれまで努めていた交通の便が良い地域とは異なる考えが必要であると痛感しました。そこで物理的な距離に端を発するタイムラグなどをなくしたいと考えたのです。
8年前に先代社長が亡くなり、函館に戻ってきた際の社員数はまだ5人でした。当時は何かあった際、会議を通じてすぐに情報の伝達が可能でした。しかし現在は、社員数が24人まで増えています。人数が増えれば、コミュニケーションの本数も増えます。結果として会議の回数が増えるばかりでした。情報の伝達や意思疎通の手段について課題を感じていました。また、この課題をクリアすべく情報伝達をスムーズにしようと考えたときに、そもそも多くの業務で効率化が図れていないことが浮き彫りになりました。

【導入】社員がボトムアップでITシステムを提案

ITでの業務効率化のために、複数のアプリを導入し、多くの業務をデータベースと連携して行うようにしました。そのために全社員にノートPCとiPad Proを支給したことをはじめとして、書類のペーパーレス化、現場施工管理アプリ「SPIDERPLUS」および業務アプリ制作のクラウドサービス「kintone」の導入を行いました。
以前私は半導体メーカーのマーケティング部署に勤めており、ITに関しては多少の知識があましたが、社員自らIT導入について考えてもらうべく、「電設工業展(JECA FAIR)」という大きな展示会に全員で参加させることにしました。私目線ではなく、実際にシステムを使う社員の目線で提案して欲しかったので、私は同行しませんでした。今あるシステムの半分くらいは、社員たちからボトムアップで提案されたものです。
また、新たなシステムを導入する際は、若い社員が熟練の技術者に使い方を教える流れを作りました。若い社員たちは、パソコンやタブレットといった端末上で操作するシステムが得意な傾向にあります。これまでは熟練の技術者が若い社員を教育するだけでしたが、その逆の流れも作ったことで、教え合いの循環が生まれたのです。熟練の技術者の中には、私よりもふた回りくらい年上の社員もいます。新卒で入社した若手社員にとっては、おじいちゃんと孫ほどの年齢差があります。大きく歳の離れた社員の間で話しかけるのは抵抗を感じることもあったかと思いますが、新しく導入したシステムをきっかけに、気軽なコミュニケーションの機会が生まれています。単なる情報共有のシステムではなく、人間関係構築のためのシステムにもなりました。

  • alt=
  • alt=

【効果】ITシステムの導入がさまざまな恩恵をもたらす

まず現場施工管理アプリ「SPIDERPLUS」を導入したことで、今まで煩雑だった現場監督の業務を、他の職種に分散させることに成功しました。結果として残業時間を1年間で23%程度削減できています。
書類の電子化は、社内のスペース確保につながっています。弊社ではここ2年で女性社員の数が増加し、新たに更衣室を作る必要がありました。そこで電子化により書庫を丸々なくし、女性用の更衣室を作りました。
書類の電子化とノートPC及びiPad Proの支給により、社内のフリーアドレス化(個々の自席を持たず、好きな席に座って仕事をすること)にも成功しました。社員増加で机を置くスペースが足りなくなる問題も解決しています。
またクラウドサービス「kintone」は、情報共有の円滑化を実現しました。それぞれの部署の掲示板を設けたり、各案件を管理したりと、各自が所有するiPadを用いてさまざまな情報を共有できる点が魅力です。また「kintone」は、新型コロナウイルス対策にも役立っています。具体的には検温情報の共有です。自宅で検温した情報をアプリに入力すると、社員の体温情報を一斉に収集できます。毎日の検温が負担にならないよう、より簡単な報告方法を確立しました。

【展望】ITの力で、皆で意思決定ができる環境作りを

現在の社員数は24人ですが、2038年までに80名規模まで人員増加するビジョンがあります。社員の数が増えたとき、1番重要になってくるのは情報共有のスピードです。どのように全員で意思疎通を図り、どのように素早い意思決定をするのかを考える必要があります。ITの力を用い、社長1人ではなく、皆で意思決定できる環境を作りたいと考えています。

社名:大鎌電気株式会社
HP:https://www.ookama.co.jp/

代表:大鎌幸雄
主な事業:電気工事・空調設備工事・一般電気工事業・電気通信工事業・消防施設工事業
所在地:北海道函館市赤川町576-2
創業:1945年年10月