弊社は創業当初、ほったて小屋で沖縄県産のパイナップルを販売する事業を営んでいました。そこから、パイナップルを軸としたオリジナルのお菓子を販売するなどサービスの幅を拡大していき、平成4年にテーマパーク「ナゴパイナップルパーク」という名前で生まれ変わりました。母体である名護パイン園のグループには、ナゴパイナップルパークの他にも、百年古家 大家(うふやー)やパイナップルハウス、古宇利オーシャンタワー、名護パイナップルワイナリー、パイナップル王国、日南物産などがあり、幅広い事業を展開しています。ナゴパイナップルパークの客層は、観光客の中でも主にファミリー層が多く、新型コロナウイルスが流行する前は海外からのお客様にも沢山お越しいただいていました。
【課題】既存のWebサイトやSNSはお客様目線に立てていなかった
これまでのプロモーションは、マスメディアや紙媒体を使用して行っていました。しかし、ペーパーレス化やIT化が進む時代背景を鑑みて、弊社代表は“デジタルマーケティングの推進”が必要だと考えていました。これまでになかったオンラインメディアやITを活用し、より時代にあった商品やサービスのマーケティングを展開することです。そこで、2018年ごろにホームページやSNSといった自社発信のWeb サイトを改修することから始めました。加えて以前のホームページやSNSで発信していた情報は、コンシューマー・インサイト(お客様目線)によるアプローチができていませんでした。お客様が何を求めているのか、どういったサービスに関心があるのか、どのような行動をしているのかを知らないままプロモーションを実施していたため、モノよりコトが求められる今の時代にはミスマッチなサイト構成や情報発信であったといえます。そのため、お客様のニーズに基づいたサイトづくりを行うべく、基本的なマーケティングから徹底して行うことにしました。まず、私たちが求めているスピード感とコストパフォーマンスを実現できるようなパートナー探しから始めました。今ではコストパフォーマンスの高いITサービスも増えて、取捨選択が必要となっています。時代の流れが非常に早いと感じています。
【導入】口コミを参考に、最適な情報管理・発信方法を模索
「トリップアドバイザー」や「Google マイビジネス」での生の声を現場へ共有することを導入しました。「トリップアドバイザー」は、旅行に関する口コミや価格比較などの情報を掲載できるサービスでお客様の生の声を現場へ共有する事ができます。「Googleマイビジネス」は、Google検索結果やGoogleマップなどに店舗や施設の情報を掲載できるサービスです。これらの導入を通して、ユーザーがどのようなキーワードで弊社について調べたかなどを分析し、お客様目線に立った情報やサービスを発信する自社サイトづくりに専念しました。また、SNSは幅広い年齢層で利用者の多いInstagram、Facebook、Twitterなどを中心に導入しています。新たなEC サイトの運用にも着手しており、弊社グループである「パイナップル王国」にある通販事業部と連携して、ECサイトを稼働させていく予定です。
【効果】お客様が求めるサービス提供が可能になった
ホームページをリニューアルしてからの変化としては、まずPV数(ページビュー数)が増えたことと、お客様がサイト内に滞在する時間が増えたことです。これらは非常に大きな効果を生んでいると感じています。まず、PV数が増えたということは、サイトへの流入や興味付けなどが上手くいっている証拠です。そして滞在時間が増えたことから、お客様がしっかりと情報をキャッチしてくださっていることが分かります。また、SNSの効果としては、情報発信の質が向上したことはもちろんですが、「SNS を見た方に特典をつける」などのキャンペーンを行ったことによる反応も大きかったと感じています。
また、ITを導入してデジタルマーケティングを実施したことで、弊社のDX(デジタルトランスフォーメーション)は前進したと考えております。具体的な例としては、パーク内で使用するアプリを制作中で、パーク内マップやお得情報をアプリでも見ることができるようにしました。お客様の利便性の向上に加えて、アプリに登録されたデータ情報を蓄積し、集客コストの削減を図ることも可能となり、弊社としても大きなメリットが得られました。お客様の反応が見えるようになることで、お客様に合った商品開発にも繋がるほか、根拠のある数値を基にした新たな戦略やサービスの発案にも役立つため、非常に有益な取り組みと考えています。
【展望】デジタルとアナログの相乗効果で唯一無二のツーリズムを目指す
今後は、デジタルチケットやクーポンなどのお得情報や、ECサイト内で登録者限定に「ワケあり商品」をお得に買えるような仕組みもつくっていきたいと考えています。また、新型コロナの影響を受けて改めて感じるのは、県外からの観光客だけではなく、沖縄県内のお客様にリピートしていただけるような施策が必要だということです。県内のお客様に「行ってみよう」と思っていただくためにも、アプリ開発をはじめとするITの活用に力を入れていきたいと考えています。その際に大切なことは、お客様の目線に立って生活シーンを想像しながらサービスを見定めて届けることです。これからもITシステムを利用しつつもアナログの良さや人の温かみを感じられる、地域に根付き、エンターテイメント性に富んだツーリズムを育んでいきたいと思います。
社名:株式会社名護パイン園
HP:https://www.nagopine.com/
主な事業:観光テーマパーク事業、お土産販売事業、飲食料品製造加工事業、外食事業など
所在地:沖縄県名護市為又1195
創業:創業1979年