柔軟かつ効率的な働き方を実現するIT技術

弊社は、製材業やハウスメーカー、大手食品メーカー様との取引を中心として、お客様の工場における生産性や品質を向上させるための機械を製造している機械メーカーです。大手企業と競合することも多く競争の激しい業界ですが、お客様それぞれのニーズに対応し、設置スペースに合わせたサイズ調整から納品後の設置まで一手に引き受けることで、他企業との差別化を図っています。お客様によってはご注文いただく機械に特別なカスタムを施すことなどもありますが、柔軟にお客様のニーズにお応えすることで、満足していただけていると考えています。実際に、お客様の多くは繰り返し弊社をご利用してくださっております。これは、柔軟な対応力に対する評価と捉えております。また、お客様の工場の規模に対して最適な機械を納品することによって電気代や修理コストの削減に繋がっているとのお声もいただいております。

【課題】出張先での対応力と即応性に欠けていた

弊社は本社が石川県金沢市にありますが、取引をしているお客様は日本全国にいらっしゃいます。本社以外にも埼玉県にメンテナンス対応を中心とした営業所がありますが、この営業所だけでは手が足りないため、社員は全国各地のお客様のもとへ出張することが多くあります。出張先では各社員が自ら管理しているデータにしかアクセスすることができず、メールでデータのやり取りを行っていました。このようなアナログな方法のため即応性に欠けており、夜間にお客様からデータを求められた際に対応できないなど、多くの問題がありました。

【導入】工場を含めた社内全体で情報管理能力を強化する

出張先での業務効率化や工場での生産性向上を目指し、VPN接続を利用した共有サーバーを導入しました。共有サーバー上に各社員がデータを保存するようになったことで、それまでは各社員が個々で管理していたデータを、社内全体で共有することができます。これまで蓄積していたデータをサーバーへ移行することは大変な作業でしたが、移行後にはデータの社内マニュアルによって共有方法などを定めたことで、スムーズな活用が実現できたと感じています。また、これらの導入に際して、工場で勤務している製造部の課長職以上の社員にもパソコンを配布しました。そのため現在、工場でも営業職の社員が持つデータを共有できています。
さらに、これまで使用していた富士通株式会社の「iCAD」、株式会社テクノアの生産管理システムである「TECHS」を連携させ、製造過程における効率化を図っています。具体的には、設計から部品の受発注、実際の製造や納品の各工程を一元管理することで、これまでよりも各工程での時間を短縮することができています。システムの連携は弊社の力だけでは難しいものでしたが、リコージャパン株式会社様に管理などを依頼できたことで、大きな問題もなく、導入に成功しています。

【効果】業務効率向上に加えて社員の業務能力も高まった

IT導入後には、もうこれなしでは仕事にならないと感じるほどです。期待していた効果として、営業職の社員が出張先でもスムーズに業務に当たることが可能となり、受注率の増加に繋がったことと、工場での生産性向上の2点です。さらに予想外の効果として、事務作業の効率が良くなったことに加え、社員間での連絡に端を発するミスが激減しました。受注率・生産性の向上および社員間での連絡の円滑化により、実際の数値としても、導入を開始した10年前と比較して売上が大幅に増加しています。
これらの効果以外にも、会社全体で情報を共有したことにより、各社員の知識が高まったと感じています。これまで各々が管理していたデータを、必要に応じて閲覧できるようになったことで、社員一人ひとりが業務の全体像を把握できるようになったからではないかと考えています。

【展望】IT活用によってさらなるサービス向上を

現在、構想中のITを活用したサービスが2つあります。1つ目はリモートメンテナンスサービスです。これは、お客様とオンライン上でお会いしてメンテナンスを行う非対面型のサービスで、出張を減らしつつ即応性を高めるなど、弊社とお客様双方にとってメリットの大きいものだと考えています。2つ目はHPからECサイトの専用ページへのアクセスを促し、ネットで部品の受発注を可能にするサービスです。弊社が製造した機器類の図面上から必要な部品をクリックしていただき発注するということを想定しており、このサービスが実現した暁には時間的コストが削減できるのではないかと考えています。
このようにITを活用することは、業務効率を向上させることはもちろんのこと、お客様へのサービス向上を考えるうえで切っても切れないものであると考えています。システムによっては大きなコストがかかる場合もありますが、まずは小さなことからでも、IT化を進めることは業務効率の向上につながるのではないでしょうか。