弊社は創業50余年になる、せんべいの生地を作っている会社です。お米を仕入れ、蒸す、練るなどの工程を経て、白くて硬い生地ができます。それを、せんべいを焼いて販売する菓子店などに納品するまでが仕事です。出来上がったせんべいは、スーパーや百貨店、観光地のお土産屋などで販売されています。弊社の取引先は、有名な草加せんべい店をはじめ、関東近郊から中部、関西、九州までと全国に広がっております。弊社のように生地を作ることに特化した会社は、全国に20社程度しかないと聞いています。そのような企業の中でも弊社は、小ロットから大ロットまで対応していることと、取引先に指定されたお米や材料を使って希望通りに練りこむ作業を行うことを強みとしております。
【課題】古くからのやり方を踏襲し、IT導入が進まない生産・工程管理業務
弊社のような食品製造にかかわる中小企業では、IT化はかなり遅れていると思います。マニュアル化があまりできておらず、古くからのやり方をそのまま踏襲してきたという会社が多いからではないでしょうか。弊社においても、出荷や納品といった販売管理にはITを導入してきた反面、生産・工程管理業務においては、まったくと言っていいほどITが導入できていませんでした。次の世代に会社を引き継ぐことを見据えた時に、IT導入の必要性を実感するようになりました。しかしながら私はITに疎く、また相談相手がいなかったこともあり、対応がどんどん先延ばしになってしまっていました。
【導入】蓄積されたデータをもとに生産管理をIT化する予定
1年半前に、商工会から紹介された中小企業診断士の先生に、中小企業庁の「経営革新支援」という経営サポートの認定を受けてみないかという提案をいただきました。それがご縁で、引き続きその先生から、経営に関するアドバイスをいただいています。そんな中で今回紹介されたのが、中小機構のIT経営簡易診断でした。専門家の方に相談する中で、生産管理について新たにITシステムを取り入れることになりました。これまでにはなかった視点からアドバイスをいただけたことで、納得してITシステムを導入できると感じました。現在は外部企業に委託を行い、システム導入の準備を進めている段階ですが、今後も頂いた診断結果をもとにしながら対応していきたいと考えています。
【効果】初歩的な知識や後継者問題へのアドバイスが大きな収穫に
IT経営簡易診断を受けたことはとても有意義な経験となりました。相談の際には専門家の方が、直接経営に関すること以外でも、IT活用のための初歩的な知識も教えてくださいました。そのため、ITが得意とは言えない弊社でも、課題として捉えていたことを素直にお伝えできたと思います。ご提案をいただいたITシステムは、弊社の詳しい業務内容を踏まえたものだと感じています。このシステムが導入された暁には、業務が格段に効率化されるはずだと確信しています。
また今回は新しいITシステム以外にも、既に導入していた販売管理アプリと、後継者に関する問題についてのアドバイスもいただくことができました。今後も何か相談したいことができた際には、まず中小機構にお話させていただこうと考えています。
【展望】世代を超えて教え合う関係が、魅力ある会社を実現する
弊社では、社員の年齢層が60歳前後と30代を中心とした世代に二分されています。若い世代がこれからの弊社を背負っていくわけですから、もっと若者が意欲的に取り組めるような魅力ある会社にしていきたいと考えています。製造現場にITが取り入れられれば、パソコンになじみのないベテランの社員に若い世代が使い方を教えることになると思います。製造技術はベテランから若者へ、ITは若者からベテランへ教えるという双方向の構図が出来ることで、若者にはやりがいが生まれ、ベテランにとっては刺激にもなればいいと考えています。このような社員全員にとってやりがいのある会社作りが、若者にとって魅力のある会社への道を開くのではないかと考えています。
社名:沼口米菓株式会社
代表:代表取締役 長久保香織
主な事業:せんべい生地の製造・販売
所在地:埼玉県加須市豊野台2-473-5 豊野台テクノタウン工業団地内
創業:1967年3月