弊社は7店舗の飲食店を経営する企業です。その名の通り、北海道の厚岸で獲れる美味しい牡蠣が看板メニューです。厚岸の牡蠣は日本で唯一、一年を通して食べることができる牡蠣です。他にも長崎県対馬市の魚を取り扱っており、牡蠣・魚ともに会長自らが漁師さんを訪ね歩き、直接の取引を行えるよう仕入れネットワークを確立しています。このネットワークにより、他では実現できない低価格で、より新鮮な食材をお客様にご提供できることが、弊社の一番の強みです。
【課題】小さな非効率の積み重ねが、大きな機会損失につながっていた
これまでは、アナログな手段に頼った店舗経営を行っていたために、あらゆる業務で少しずつ手間数が増えてしまっていました。例えばフロアスタッフが手書きで直接お客様のご注文を取る場合、厨房とフロアの行き来が多くなり、必然的にスタッフ1人ひとりの仕事量が多くなっていました。常に厨房とフロアを行き来していたことで、お客様のご注文を聞き逃すことや、そもそもオーダーに気づくことができないというケースもありました。更に、日ごとの売上やご来店組数、客数、客単価、売上などの集計作業も電卓や手作業で行っており、こうした点も非効率に感じていました。
また、その日に獲れた魚を漁師さんに直送していただいているため、お客様に提供する魚の種類が毎日変わります。お客様に飽きずに弊社店舗を利用していただけるメリットがあり、お喜びいただいておりますが、その一方で魚のラインナップが変わるたびにメニューも変更する必要が生じるため、業務が多忙になるとその日のメニュー更新の時間確保にも苦労していました。管理業務の増加によりメニューの更新が遅れてしまうことは、重大な機会損失になりかねません。かといって、安易にフロアスタッフを増やすと人件費が嵩んでしまいます。どうにかして状況を打開する必要があると感じていました。
【導入】煩雑になっていた複数のITツールをアプリの導入で集約化
業務効率化をどのように図っていくか悩んでいたときに、ITの導入ということが頭をよぎりました。もともと、時代の流れを考えれば、いずれはIT導入が必要だと考えていたこともあり、特段の不安や抵抗感もなく導入に踏み切ることができたと感じます。実は、これまでにも漠然と便利そうだと感じたアプリやITツールを複数使っていましたが、それぞれが連携していなかったため、効率化の面では期待した効果は得られませんでした。そこで、改めてITツールを吟味しなおし、弊社の実情に合ったアプリ「でん票くん」に集約しました。「でん票くん」はスマートフォンを扱うように操作しやすく、スタッフたちは短時間の説明で当日のうちに使えるようになりました。
【効果】アプリの集約により課題をクリア
これまで導入してきた様々なツールを「でん票くん」に集約したことで、課題となっていた人件費の削減に加え、店舗の管理業務の効率化を実現することができました。現在では、直営・フランチャイズともに統一して、「でん票くん」に追加された機能「ゲッ注」を利用しており、受けた注文を厨房近くに置いたタブレットで管理しています。この新機能は、お客様のスマホでQRコードを読み取っていただき、そこから直接ご注文していただけるものです。お客様によってはその操作を面倒に感じる方もいらっしゃるのではないかと考え、「ゲッ注」を使って注文していただいたドリンクは全品50円引きにすることにしました。これにより、お得感を演出できるとともに、お客様も納得感が得られているのではないかと思います。今では「ゲッ注」でご注文される方も増えてきているため、フロアスタッフの人数をこれまでと比べて格段に少なくすることに成功しました。大きな人件費削減と利益率の改善につながっているだけでなく、データ集計により今後の経営課題や各店舗の問題も「見える化」されるようになりました。すべての注文や来店したお客様の人数、組数などを一括して同じシステム内で管理しているため、今後はデータ活用をしていきたいと思っています。
【展望】広がる可能性、店舗の未来
まだ「ゲッ注」の導入を行ってから2~3ヶ月程度ですが、もう導入前には戻れないと感じています。現在導入している「でん票くん」はバックアップ体制も手厚く、何かあればすぐにベンダー様に相談することも可能です。問題があった場合はすぐに改善していただけるので、安心して使うことができています。IT導入を通して、より高い利益率でより効率的に経営を継続できるようになったと感じています。今後も更なる業務の最適化を図り、これまで以上にお客様に喜んでいただける店舗づくりを目指していきたいと思います。