弊社は1919年に創立しました。当時、地域の一大産品であった足袋と新素材であったゴムを融合し、地下足袋の一貫生産を開始しました。現在では安全スニーカーや作業シューズの製造販売も行っています。作業地下足袋については作業現場の環境改善に伴い、販売数量は年々減少傾向にありました。しかし伝統的な日本の地下足袋技術を後世に残したいという思いから、2010年頃より足袋型シューズという新たな形での製作・販売を行っています。また1995年より弊社が日本で初めて作業性に優れた安全スニーカーを製造販売しました。それまでの本革製の安全靴に比べ、軽量で通気性に優れていると好評を頂きました。これからも、人々の生活の安全と安心を、足元より支えていくことを基本に置いて、さまざまな商品やサービスを提案し続けてまいりたいと考えております。
【課題】現地在住のパートナー離脱で海外での販売が困難となった
当初、パリに住んでいたパートナーを頼りにヨーロッパでの販路拡大を行っていました。しかし、パートナーが諸事情により離脱してからは、税務処理や顧客情報の管理の困難さが販路拡大の壁となって立ちふさがりました。その結果、2010年頃から行っていたヨーロッパでの製品販売は撤退を余儀なくされました。ちょうど2010年の6月から経済産業省製造産業局に「クール・ジャパン室」が設置され、世界からクール(かっこいい)と捉えられる、あるいはその可能性のある日本の魅力を伝えるという活動が始まっていました。この影響を受けてか、ヨーロッパではアニメや漫画を通じて「忍者」などの日本文化への憧れが高まり、地下足袋をはじめとする弊社製品の需要も継続して伸びています。その中で販路が縮小してしまうことは、弊社にとって大きな損失であり、改めて税務処理や顧客管理の課題と立ち向かっていかなければならないと考えていました。そのような背景から、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)様の販路支援を受けることを決めました。
【導入】手厚いサポートの下で再び海外を目指す
中小機構のeコマース支援の一環であるセミナーに参加し、税務処理や顧客管理についてのアドバイスをいただき、解決策として越境ECサイトの紹介をしていただきました。弊社はeコマース支援のセミナーに何度も参加しております。これはオンライン講座の配信やセミナー·マッチングイベントの開催、専門家によるアドバイスの提供がいただけるもので、当時弊社でもこの支援を通じて、多数の企業や店舗のECサイトが集まった、海外のモール型ECサイトの方から話を伺うことができました。これによってどのサイトが弊社にとってベストか、どのように海外への販路を開拓していくべきかを探ることができたと感じています。
【効果】低い工数で多様な国々に製品をお届け
もともとはヨーロッパでの販路拡大を目的としていましたが、現在では株式会社ラクーンホールディングス様の卸・仕入れサイトである「スーパーデリバリー」を通じて、アメリカをはじめとする多くの国々の方に弊社製品をお届けすることができています。具体的には台湾や韓国などのアジア諸国、ロシア、ウクライナ、ベラルーシなどの東欧諸国です。このサイトはヨーロッパへの販路開拓における税務処理、顧客管理の解決手段として紹介していただいただけあり、海外への販路開拓を進めるうえで非常に分かりやすく、安心して利用できるものだと感じています。このBtoB形態での販路拡大に加えて、「Amazon」の活用によってBtoCを中心とした販路の拡大にも成功しています。国内での問屋を仲介した販売とはまた異なり、百貨店などを介さずに直接お客様に製品をお届けし、また直接お声掛けをいただけることはとても嬉しいことです。「Amazon」では表計算ソフトで作成したテンプレートをもとに簡単に製品の情報を更新することができます。現在、私1人でそれらの更新やサイト管理ができており、工数の低さにも驚きを隠せません。売上が伸びている上にその管理が簡単であるということで、大いに満足しています。
【展望】ECサイトは販路を拡大するだけじゃない
海外での販路拡大を実現しつつあるものの、物流の複雑さや倉庫の確保と流用コストに関する問題は依然として立ちはだかっています。しかし、例えば大手モール型ECサイト「Amazon」では、アメリカ国内用サイトに限定して登録した後で、簡単な手続きを済ませればカナダやメキシコにも販路を拡大できるということがあります。このように倉庫の流用コストの問題1つにしても、ECサイトを通じて一箇所の倉庫に近隣諸国へ出荷する分をひとまとめとするなど、様々な解決方法があるのだと感じています。
弊社でもこのようなECサイトの長所を今まで以上に活かしていくために、認知拡大を目指して英語版の「Instagram」「Facebook」などのSNSに取り組み、積極的に情報発信を行っていきたいと考えています。
社名: 株式会社丸五
HP:https://www.marugo.ne.jp/
主な事業:フットウェア、工業用品の製作と販売
所在地:岡山県倉敷市茶屋町1680-1
創業:1919年5月4日