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事務職化していた介護の現場をIT導入で本来の姿に

  • 2020年10月30日
  • 有限会社青空
  • 個人向けサービス
  • 請求書類発行
  • 介護記録ソフト
  • 関東
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居宅介護支援事業を行う有限会社青空は、IT導入によってヘルパーに重くのしかかっていた事務作業の省力化に成功しました。利用者様と接する時間が増え、サービス向上に繋がっています。

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    代表取締役:山口ひとみさん

私たち「青空」は、主に介護保険法に基づく居宅介護支援事業と障害者向けの事業を展開する企業です。具体的には、訪問介護、居宅介護支援事業、通所介護(2ヶ所)、小規模多機能型介護事務所(2ヶ所)、そして障害者相談支援事業も運営しています。横浜市金沢区の地域に根差し、利用者さまはもちろん、従業員にも選ばれる介護事業所を目指しつつ、住み慣れた地域にできるだけ長い期間住み続けることができるようサポートすることを理念として掲げてきました。その想いはこれからも変わることなく、地域内の医療関係者をはじめ、高齢者を支える方たちとの連携を育む中心的な存在であり続けたいと考えています。

【課題】アナログのデータ管理による業務過多

介護保険制度では、サービスの記録や提供時間の確認がルールとして定められているため、ヘルパーや利用者様の数が増えると、それに比例して管理業務に要する時間も増えていきます。さらに、それらの記録はすべて紙面に手書きで行っていたので、回収から確認、介護請求に基づき給料を支払うまでのプロセスはすべてアナログでした。
現在の利用者様は300人以上おり、規模としても非常に大きいため、介護保険の期日(毎月10日)までに全工程を完結するのはとても大変です。事実、月末から月初めにかけては猫の手も借りたいほどの忙しさとなり、従業員一人ひとりに大きな負担がのしかかっていました。

【導入】事務作業の省力化で本来あるべき姿を目指す

訪問介護員は専門職であるため、本来であれば多くの時間を現場に充てる必要があります。しかし、実際は事務作業に時間を取られてしまい、本当にやりたいことができない状態でした。どうにかならないものかと周囲に相談する中で、ITを導入することにより事務作業の省力化が実現できるというアドバイスをいただき、介護事業者の依頼をもとに開発された訪問介護支援ソフト「Care-wing」を紹介してもらいました。このシステムは、実績管理や請求関連の業務、紙ベースだった現場業務を一括管理できる優れものだということに加え、スマートフォンひとつで完結するシンプルな操作性が魅力で導入を決断しました。
しかしながら、ヘルパーも高齢化しているため、最初から全体で導入するのはハードルが高いと思い、まずは10名ほどで使いこなせるかの検証も含めてスタートすることにしました。2ヵ月ほどの移行期間経て、徐々に他のヘルパーにも広げていくことにしました。
実際に問題なく稼働できる状態になるまでの期間は、開始から1年程度でした。使い慣れない人たちに対してフォローする連携も生まれたので、コミュニケーションが増えたことによる一体感も生まれたように感じています。

【効果】雑多な業務のスマート化でこれまで以上に介護に集中

「Care-wing」は、訪問介護の記録管理業務に特化したITシステムです。訪問先の入退室時はスマートフォンをICタグにかざすだけで、チェックイン・チェックアウトが入力されます。介護内容にチェックを入れるだけで記録も完了するため、1日のスケジュール内容や、サービスの把握が簡単にできます。今までは、ヘルパーが事務連絡をする際は電話を使用していたのですが、介護中に連絡ができず、タイミングを調整するのも苦労していました。しかし「Care-wing」導入後は利用者様の体調が優れない場合には入浴介助を急遽休止するなど、いつでも簡単に情報共有ができるようになりました。サービス提供責任者もヘルパーの稼働状況をリアルタイムで確認できるので、業務効率が格段に良くなったと実感しています。そして何よりも、ヘルパーの介護記録から自動的に実績記録データが作成され、これまで月初めに約4人がかりで2日ほど要していた煩雑な紙ベースの事務作業が無くなったことは大きな収穫と言えるでしょう。確認作業を含めて1日で完結できるようになり、結果的に、今まで以上に介護へと集中できる時間が増えました。また、ペーパーレス化によって書類の保管場所を確保する必要もなくなり、紙代と保管スペースにかかるコストの削減にも繋がっています。

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【展望】ITシステム導入による恩恵をさらに広げていく

訪問介護サービスの改善に向けた業務支援システム「Care-wing」の導入は、大成功だと実感しています。そのため、今後はその他の非効率な部分をしっかりと見定めたうえで新たなITツールを導入することも検討しています。例えば、在宅生活で介護サービスを受けている高齢者に対して、ケアプランの作成などを行う居宅ケアマネジャーも、紙ベースの業務が非常に多い傾向があります。主に介護のサービス提供表を各事業所に送り、実績を紙媒体でもらうのですが、サービス提供表の数は1ヵ月で約3000枚にものぼります。その膨大な数のデータ管理も、訪問介護サービスと同様にITを導入することで作業効率化とペーパーレス化が実現可能です。これらの事務作業の省力化は、本来の現場に割くべき時間の確保はもちろん、従業員のエンゲージメント向上にも有効だといえます。介護を通じて得られる経験やサービスに関する知識を高め、従業員同士で共有しあい、より良い組織作りに対して前向きに取り組める姿勢は、利用者様の満足度向上にも繋がると考えています。
介護業界は、とにかく「人」がベースにある対人援助の最たるものなので、そのミッションにどれだけ時間を確保できるかということを念頭において働くことが何より大事です。介護保険制度という公的なルールを伴う中で行っているため、どうしても定められたさまざまな書類が必要であることに変わりはありませんが、事務作業を軽減して実際のサービスの質や量を向上できることは、私たちが身をもって実感しています。これまでにIT導入の実績がない企業様も、良い効果が得られる可能性は十分にあると思います。事業やサービスに集中する時間の捻出と生産性を高めるためにも、ぜひ導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

社名: 有限会社 青空
HP:https://www.aozora-care.com/

代表:代表取締役 山口 ひとみ
主な事業:居宅介護支援、訪問介護
所在地:神奈川県横浜市金沢区泥亀1-15-2ひいちやビル3階
創業:2003年4月1日

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