青果店から独立し、試行錯誤を繰り返し8年前に開業したのがこのお店です。一時は青果専業も試みましたが、野菜は安売りの対象になることも多く、単独では利益を出しにくいこと、また肉類、魚介類が揃っていなければ集客が難しいことから、苦労しつつも規模を広げ、品揃えを絞りつつも『自炊するお客様にワンストップでご利用いただけるお店』を目指し、日々頑張っています。
【課題】半径500mの商圏のお客様にどうアプローチするか
食品スーパーにとって、やはり最大の課題は集客です。当店では、商圏をだいたい自転車でお越しいただける範囲、半径で言えば500mくらいだと考えています。そうした商圏のお客様にアプローチするため、開店当時はかなりの予算を新聞の折り込みチラシに割いていました。実はチラシは予算を抑えていてはあまり効果がありません。一定の枚数をしっかり打つことで、お客様の反応が帰ってくるという感じです。しかし少ない利益のなかでその予算をどうバランスさせていくかが課題でした。
【導入】LINEの無料メッセージに着目、1日2回お買い得情報を送信
そうしたなか、5年くらい前からLINEを使った集客の取り組みを始めました。LINEなら、お金をかけずにお客様にアプローチできるからです。当店が行う安売りのイベントがたびたびテレビに取り上げられたこともあり、登録いただいたお客様の数は約6500人になっています。こうしたお客様に、これまで毎日2回、お買い得商品などをメッセージでご案内しておりました。
【効果】登録5000人を超えたところでチラシ不要の集客が実現
当初はチラシの文面をイメージして『品名+値段』という味気ないメッセージばかり送っていました(笑)。しかし、担当者を女性社員に変え、女性のセンスで『日々の挨拶』から『買ってほしい商品』『社長へのぼやき』など自由な文面になったところ、『いいね』をいただくことも多くなり、集客により手応えがでてきたように思えます。また、チラシに割く予算は登録が2000人を超えたところで半減させ、さらに5000人を超えたところでゼロにしましたが、LINEだけで十分な集客ができるようになりました。
【展望】夢はITを活用した「フードリカバリースーパー」の設立
この春、LINEはビジネス向け利用者の公式アカウントへの移行を行う予定です。これにより、無料で送れるメッセージ数に制限がかかるため、今後はどう運用するか、有料メッセージを使うとしたらどのくらいが適当なのか、現在検討を続けているところです。会社としての将来の夢は、『フードリカバリースーパー』への発展です。現在スーパーでは、賞味期限まで残り1/3を切った食品を店頭から外す『1/3ルール』が常態化し、その多くが廃棄されています。しかし、その段階でも美味しく食べられるのはもちろん、たとえ賞味期限を過ぎたものを食べても健康に影響はありません。こうした賞味期限が近いもの、そして賞味期限が切れたものを普通のスーパーと同じような品揃えで並べる『フードリカバリースーパー』があれば、フードロス削減に大きく役立つと考えているのです。そうした段階で、ITを活用して仕入れや品揃えに役立てていきたいと思っています。
企業名:全栄物産株式会社
所在地:埼玉県鴻巣市宮前101-18
代表者:代表取締役 植田 全紀
設 立:平成22年9月7日
従業員数:30名
事業内容:生鮮スーパー