小規模事業者こそ、少しのコストを惜しまずにITツールで効率化すべき

  • 2020年03月06日
  • 手打蕎麦ごろう
  • 飲食業
  • POS(汎用)
  • 会計
  • 関東
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緑深い山々、流れ続ける多摩川、御岳渓谷を一望できるところにあるのが「手打蕎麦ごろう」。青梅駅から車で10分、近年は山ブームで観光客がたくさん訪れるという御岳山の麓に店を構え、地元の人、観光客がたくさん訪れています。同店では、地元の野菜を使用した天ぷらや手打の蕎麦が味わえ、窓からは御岳渓谷の四季の顔が楽しめます。自然豊かな青梅ならではの蕎麦屋です。

最初に修行した蕎麦屋が実家の蕎麦屋で、そこが『ごろう』という店名でした。そこから、そのまま『ごろう』をもらった形です。地の食材を使った料理と手打ち蕎麦を出していまして、人気はやはりせいろと天ぷらのセット。例えば、ふきのとうを入れた天ぷらなどが売れ筋です。窓からは御岳渓谷が見られますので、風景を見ながら地の食材を楽しめるのが当店の特徴になります。最近はないですが、ドラマの撮影で使われたこともありますね。

【課題】 アナログなレジで、データも管理も全くできていなかった

以前のレジは、アナログもアナログ、八百屋さんとかでたまに見かける“ザル”がレジでした。当然、データも取れず、しっかりと管理していたとは言えない状況でした。

POSレジアプリの『Airレジ』を導入したのが2018年の春、ちょうどゴールデンウイークのころです。消費税が10%に上がる前にレジを一新したいという点と、クレジットカード払いに対応できるキャッシュレスにしたい点から、新しいレジを探していました。そのときに、青梅商工会議所からAirレジを紹介されて、自分で調べてみて良いなと思い、導入に至った次第です。

導入に際し、何か大きな決断をするという感じではなく、消費増税のタイミングもあり、導入コストもそれほどかからなかったので、とにかく導入して使ってみようという感じでした。

【導入】 反発のあった現場でも、使ってみたらその良さを理解してくれた

導入の際、他のPOSレジも調べたんですが、Airレジにした理由はランニングコストがかからない点です。導入コストも安いので、初期投資が低く抑えられます。他のPOSレジは導入に30〜40万円かかってしまったり、ランニングコストが月額でかかってきたりと、コスト面では断然、Airレジでした。あとは、会計と紐付けて確定申告を簡単にしたいという点もAirレジにした理由のひとつです。

従業員はこれまで手計算で行っていましたので、Airレジを使うことに難色を示していました。しかし、導入してみたらすぐに「Airレジのほうがいい」となりました。まず、金額を計算しなくてお釣りが出せますし、卓番ごとの金額も間違わずに出るので、使ってみたら良かったということでした。

会計ソフトの『マネーフォワードクラウド』は、Airレジのあとに導入しました。導入の理由は、それまで使っていた会計ソフトは使いやすかったんですが、Airレジと紐付けができなかったんです。

以前の会計ソフトは簿記の知識がなくても簡単に使うことができましたが、マネーフォワードは多少知識がないと最初は厳しいかなと思います。具体的には、マネーフォワードは貸方と借方をきっちり入力する必要があります。私は簿記の資格は持っていないのですが、その辺は、独学でカバーしました(笑)。

【効果】 Airレジを中心に紐付けることで、あらゆる効率化が進んだ

マネーフォワードは最初が少し大変な分、確定申告や決算の作業は随分と楽になりました。クレジットカードを登録しておけば全て仕分けしてくれますし、銀行の預金はモバイルバンキングに登録しておけば自動的に仕分けしてくれます。携帯電話のカメラでレシートを撮ると、それも仕分けしてくれて、最終的には全て紐付けされるので非常に便利です。

コスト面では、マネーフォワードは年間2万円弱。以前の3倍ほどのランニングコストがかかりますが、その費用で全て自動でやってくれるので、トータルで考えるとマネーフォワードのほうが断然いいですよね。

以前は確定申告前の2月に、1週間程お店を閉めた後に頑張ってデータ入力するという感じでした。マネーフォワードでは、しっかり時間を取って作業をすることはほぼないですね。紐付けされると本当に楽です。想像していた以上に楽になりました。

Airレジになって、レジ締めは5分ほどで完了します。以前は、30分くらいかかっていましたかね。データとしては商品別、時間別の集計が取れます。さらに、ポイントカードの情報と組み合わせることで、顧客別の来店回数、日付、食べたメニュー、全てがわかります。

その情報を参考に、DM(ダイレクトメール)を効果的に出すことができるようになりました。例えば、お客様の誕生月にDMを出すのですが、2年以上来店がない人に送っても効果はあまり期待できません。以前は何百枚もハガキを送ってましたが、効果の薄い人には送らずにすみ、結果として無駄を省くことにつながっています。

半年前から、従業員のシフト管理をする『Airシフト』を活用しています。それまではタイムカードがなかったのですが、Airシフトにはタイムカードの機能があるので出退勤の記録をつけています。事前に時給を登録しておけば、給与計算を手計算でしなくても、自動でパッと出てきます。今月の人件費がすぐに分かるのは経営者としてありがたいですね。

クラウドと繋げたり、マネーフォワードと紐付けたりすると有料になるのですが、タイムカード機能だけであれば無料です。うちとしては、それだけで十分なので、とても助かっています。Airレジを導入しなければ生まれなかった効率化だと思います。

【展望】 怖くても、やらないと始まらないのがITツールの効率化

POSレジ、会計ソフト、QR決済、それらが別々で紐付けられずに苦労しているという話を聞いたことがあります。むやみやたらにITツールに手を出してしまうと全体の効率化が進まないことになりかねません。多少コストがかかったとしても、すべてが紐づけられて得られる効率化を狙うべきです。例えば、一括にして効率化するのに月額100円アップしてしまうくらいであれば、100円のコストを惜しまずに効率化を取ったほうが良いという考えです。

一方で、『クラウドはよく分からない』『ITツールは怖い』という声も耳にします。私でも、そう感じている部分も少なからずあります。でも、怖いからと言って使わないのでは、何もできません。車もそうですよね。乗れば事故に遭う可能性はあります。でも皆さん、乗りますよね。ITツールも同じだと思います。

まだまだAirレジの機能を使いこなしていないと思っていますので、今後は色々と勉強して、うまく他のITツールと紐付けて効率化を図っていきたいですね。

手打蕎麦ごろう
所在地:東京都青梅市御岳本町266
創業:8年目(設立2012年)

(支援者の紹介)積極的、かつ多面的な支援を心がけ、事業者には小さい成功体験を積み重ねて欲しい

手打蕎麦ごろう様のITツール導入に関して今回、私は補助金を紹介したのみで、社長ご自身が従業員といっしょになって量販店に足を運び選択され、購入後もご自身でメーカーや補助金事務局へ連絡をされ、運用開始されていました。また、購入されたAirレジとマネーフォワード クラウド会計を連携させ業務効率の向上に取り組んでいることは、私の想定以上でした。

私が普段から心がけていることは、業種や規模、取り巻く外部環境等を考え、その事業者に適した提案をできる限り多く投げかけることです。また、投げかけた提案が一つでも助けになれば良いと考えています。

私自信、ITについては得意とは言えません。ITに明るくない人にとっては、使いこなせるのかと疑問を感じチャレンジする気になれないことはよく理解できます。そこで、普段身近に使用しているスマートフォンなどで、簡単なことで良いのでプラスになる成功事例を示せると興味をもつ事業者が増えるのではないかと思います。

また、導入した後で運用されなければ意味がありません。提案する側としては、ITツール導入後のフォローがしっかりしていることがわかると提案しやすくなりますし、店舗でも利用されると思っています。

最後になりますが、いろいろな支援機関が小規模事業者・中小企業支援に役立つ支援施策を実施されています。しかし、その存在を知らない事業者が少なくないので、積極的に情報提供していきたいと考えています。

支援者:青梅商工会議所 地域振興部 中小企業相談所
相談所長細川 卓也さん

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