店舗が市場にあることで事業者への販売が多かったのは事実ですが、今はそこまで事業者向けでもなく、意外と思われるのですが、一般消費者への販売が増えてきています。顧客層は40〜50代をコアにして、それ以上の年配者がほとんど。男女比でいうと、6:4か7:3で、イメージよりもずっと男性客が多いんです。その中でも、この市場に車で来られる範囲のお客様がほとんどでしたが、もっと商圏を拡げていくためにも、ITツールを活用して現状の把握、データ収集を行いたいと前々から思っていたんです。
自分でもインターネットでいろいろと調べたりもしましたが、それだけではらちが開かないので、商工会議所に相談して専門家の方に話しをしてみることにしました。
【課題】 在庫管理などは肌感覚だったので経営戦略が立てられなかった
以前は、本当に古い計算機型のレジを使っていて、お金の出し入れのみ。当然、取り扱いは現金のみで、クレジット決済などには対応していませんでした。売上についても、肌感覚でした。だいたい、これくらい売れているだろうな、明日はもっと仕入れを増やそうといった感じです。
今思うと、肌感覚でやっていたにしては、いい線行っていたなと思います(笑)それでも、当然、売れ残りといった“ムダ”は発生していて、ざっくりと2割くらいは売れ残っていたと思います。
業界が衰退している中で生き残っていくためには、事業者向けだけではなく、一般消費者にどれだけ売っていくかが大事になります。そのためにも、どの花がどれくらい売れているのか、正確な数字を把握し、ムダを省いていくことが必要だと感じていました。
【導入】 不安はあったが、使ってみたら使いやすくて便利
前々から、「クレジット決済できないのか」という話はお客様からはありまして、ニュースなどでキャッシュレス決済が取り上げられるようになったことからも、キャッシュレス対応の良いタイミングだと思っていました。iPadも含めて無料で導入できるというのが、キャッシュレス決済に切り替えた一番の要因です。
導入してみて、キャッシュレス決済をする人の多さをとても実感しました。ただ、クレジット決済は手数料が発生しますので、それが売り上げに対してどれくらいになるのかという不安はありました。
キャッシュレス決済にするタイミングで、レジも「Airレジ」を導入しました。無料でしたし、ひとまず導入してみて使いこなせるかどうかを確認しながらと思っていました。まず、ネックになりそうな、使い方に関しては動画で説明してくれて、非常に分かりやすかったです。例えば、短期のアルバイトの方でも動画を見ればすぐに使えるようになるので、『導入して使いこなせるかな……』という不安はすぐに払しょくできました。
キャッシュレス決済ばかりになってしまって、現金での取引が激減してしまうのではないかという不安もありました。ところが、蓋を開けてみると、やはり現金で取引する層は一定数いて、両方を対応できることでお客様の利便性は高まったのかなと思っています。
【効果】 売上を伸ばすための“攻めの経営”にも役立っている
まず、キャッシュレス決済にした効果ですが、とにかく『時短』ですね。お金のやり取りがなくなりますので、お客様の手間もかかりませんし、こちら側の手間もかからなくなりました。お年寄りのお客様だと、カバンからお財布を出して、そしてお財布からお金を出して、という一連の流れはどうしても時間がかかってしまいます。お店側も金額を確認する必要もありませんし、お互いに時短になったと思います。
時短になって生まれた時間で、1人でも多くのお客様を接客できれば、売り上げにもつながりますし、とてもありがたいですね。それと、売上金額の差異がほとんどなくなったことも助かっています。
次に、Airレジの効果ですが、肌感覚だった以前と比べて、今は売り上げに関する数字がリアルタイムに出てきます。今月はこれくらい売れているというのが目に見えるので、スタッフとも話しができてありがたいです。
ITツールを導入したからなのか、はっきりとは分かりませんが、1年で最も忙しい時期である12月で比較してみると、アナログだったころの売れ残り2割が、去年は1割ほどに圧縮できました。
ムダをなくすという面での効果もあったのですが、はっきりと何が売れているのかが数字で把握できることで、意外な商品が売れていることがわかったこともメリットですね。売れ筋商品がわかれば、より在庫を増やして売上を伸ばしていくことも可能になります。“守り”だけではなく、“攻め”の経営戦略にも活かしていければと考えています」
【展望】 ネット決済を実現させて、日本全国に花を売っていきたい
できるかどうかわからないのですが、例えば、QRコード決済に必要なQRコードをメールで送って決済できれば、来店いただかなくても購入できるようになります。銀行振り込みでは振り込み手数料を負担することになりますが、それがかからないようでしたら、消費者にもメリットが生まれます。
昔から、新鮮さを保ちつつ、花に損傷がないように発送する技術には自信があります。それが当社の強みのひとつでもあるので、ネット決済と絡めて当社の強みが活かせる戦略を立てていきたいです。そのためにも、ホームページやSNSなどを使って当社のPRを仕掛けていければと考えています。
Flower shop toi toi toi
HP:https://toitoitoifl.jimdofree.com/
大東京綜合卸売センター第1通路沿い