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特集

第2回 ステップ1 お困りごとの見える化 ~旧版サポートブックをいま紐解く

  • 2022年5月13日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 吉田明弘
  • IT導入支援
  • サポートブック
旧版サポートブックをいま紐解く第2回のサムネイル画像

サポートブックこと『支援者のためのビジネス用アプリ導入支援サポートブック』をご存知でしょうか。支援者の方々が、事業者のIT導入支援を実施するにあたり、その進め方の基本的な内容やポイントをおさえた手引書として、IT導入の支援現場でご活用いただくことを目的として作成した冊子です。

連載第2回では、IT導入支援における支援者の最初のアクションである、ステップ1「お困りごとの見える化」について、サポートブックの内容を紹介します。

ビジネス用アプリ導入支援の6ステップ

ビジネス用アプリ導入支援の6ステップの画像
ビジネス用アプリ導入支援の6ステップ

ステップ1「お困りごとの見える化」

お困りごとを聞くときに注意すること

サポートブックでは、支援者が経営支援そのものはある程度「できている」という前提で話が進められています。支援者として、経営課題を把握することは当然であり、サポートブックのターゲットとなる支援者は、ヒアリングした経営課題をビジネス用アプリやIT全般と結びつけて考えること「だけ」が弱点であると仮定されています。

そのため、このステップ1では、お困りごとをヒアリングする際の注意点については、あまり言及されておらず、ヒアリングによって分かる事業者のお困りごとを、ビジネス用アプリと紐づけて考えるための方法が記載されています。ただし、最後に以下のような注意点が記載されており、実はここがとても重要です。

なお、課題解決策の検討において、ビジネス用アプリの導入だけでは解決できないことも多くあり、ITだけで解決を図ろうとすると、結果、対策コストが大きくなってしまうことがあります。そのため、解決策をいわゆる『IT系の解決策』だけでなく、人材教育や設備投資等の他の支援策も併せて、検討していくことも重要な要素です。(P.8)

「正しいものを正しく作る」

いわゆるIT業界でよく言われるのが「正しいものを正しく作る」ということです。システム開発者は、仕様書通りに動く不具合のないシステムを作る、つまり「正しく作る」ことを大切にしています。しかし、そうして作ったシステムが実は役に立たないということも起きがちです。これでは「間違ったものを正しく作る」ということになります。

なぜ間違ったものを作ることになってしまうのかというと、それはシステムを作る目的となる、ユーザーの事業や生活を正しく捉えていないからです。何が「正しいもの」なのか、謙虚に探り続けなければ、「正しいものを正しく作る」には近づけません。

これはIT活用による課題解決の場でも起こりうる間違いです。ITはあくまで「情報技術(Information Technology)」であり手段でしかありませんので、ビジネス用アプリの導入を目的化し、本来の目的を明確にせず進めてしまうと、経営全体を間違えてしまうことに繋がりかねません。

例え事業者が「HPを作り直したい」「予約管理アプリを導入したい」などといった具体的な相談を持ちかけてきても、一度立ち止まって改めて事業全体についての考えをまとめ直すことが大切です(システム屋さんには、これが苦手な人が多い印象があります)。

ストーリーや戦略、ビジネスモデルはどうなのか

ここからアプリに掲載されている特集記事「【インタビュー】IT支援の取り組み状況——高崎商工会議所 梅澤史明さん(前編)」によると、高崎商工会議所では、HPについての相談が事業者からあったときに、販売戦略の全体像を体系図にまとめることによって「戦略上、今、本当に必要なことは何か」を確認しているとのことでした。

事業の全体像を可視化するためのフレームワークは、昨今ではネット上でもいろいろなものが説明されており、検索すると見つかると思います。そうしたフレームワークなどを活用しながら、事業のストーリーや戦略、ビジネスモデルなどを把握することで、事業や業務をどう変化させていきたいかということが確認しやすくなります。これが、ITをどこでどのように活用していくかという以前に、大変重要です。

変えられる可能性を知る

一方で、事業や業務を変えたあとのビジョンを思い描くためには、ビジネス用アプリを導入することで、どのような課題解決の可能性があるのかというイメージを持つことも必要です。そうでなければ、変えられる可能性があることすら知らずに、現状をただ受け入れることにもなりかねません。

そのため、旧版サポートブックでは、「お困りごとアプリ機能対応表」という簡易な表を提供しています。事業者と話をする中で見えてきたお困りごとが、この表に列挙されたお困りごとに近いものだった場合に、そのお困りごとの横の列を見ると、対応できる可能性のあるビジネス用アプリの種類が分かります。

お困りごとアプリ機能対応表の画像

それらのアプリ種別について「ここからアプリ」などで何ができるのか概要を調べると、事業者に合った課題解決の方向性を見出すヒントになります。「ここからアプリ」の「アプリ選択ガイド」という機能を使うと、アプリ種別ごとに記事や動画を検索することができます。

また、「IT戦略ナビ」を使うと、簡単な質問に答えるだけで経営課題を掘り下げていくことができ、最終的にITを活用して課題解決をする可能性についてもひとつの案が提示されます。

まとめ

こうしたツールを活用して、ストーリーや戦略、ビジネスモデル、そしてお困りごとを見える化しながら、「戦略上、今、本当に必要なことは何か」を明確にしていくのがこのステップ1です。支援者として事業者の事業を理解することはもちろん、事業者とコミュニケーションする中で、事業者自身で気づきを生むことも期待できます。

次のステップ2では、ステップ1で見えてきた「今手をつけるべきお困りごと」に関連して、事業者は具体的にどのような業務を行っているのかを明確にします。その事業がどのような業務によって成り立っているのか把握することで、事業者に合った具体的な対策を検討することができます。

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