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特集

第1回 サポートブックでIT支援力向上! ~旧版サポートブックをいま紐解く

  • 2022年5月13日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 吉田明弘
  • IT導入支援
  • サポートブック
旧版サポートブックをいま紐解く第1回のサムネイル画像

サポートブックこと『支援者のためのビジネス用アプリ導入支援サポートブック』をご存知でしょうか。支援者の方々が、事業者のIT導入支援を実施するにあたり、その進め方の基本的な内容やポイントをおさえた手引書として、IT導入の支援現場でご活用いただくことを目的として作成した冊子です。

連載第1回では、今あえて旧版のサポートブックから学ぶ意味をお伝えしたいと思います。特に経営支援そのものの経験が浅い支援者の方々にご活用いただきたいです。

今あえて旧版から学んでみよう

実はサポートブックには、2019年3月版(旧版)と2021年3月版(改訂版)の2種類があります。どちらのバージョンも、事業者が生産性向上を達成する手段としてのIT導入を、支援者が支援していくに際して活用してもらうということが目的とされています。

しかし、旧版はIT活用だけではない課題解決を含むやや広い支援について記載しており、改訂版はIT活用がほぼ決まってからの支援について記載しているという違いがあります。IT導入というのは手段のひとつでしかなく、経営を一体としてとらえて支援する中の一部にIT導入支援は位置づけられます。

そのため、特に経営支援全般において経験の浅い支援者には、旧版にこそ役立つ情報が載っていると考えられます。

「ビジネス用アプリ」とは

最初に、サポートブック内でよく使われる「ビジネス用アプリ」という言葉を説明しておきましょう。「ビジネス用アプリ」というのは、基本的にはクラウドサービスとして提供されるアプリを指しています。

クラウドサービスというのは、主な処理がユーザーのPC上ではなく、どこかにあるサーバーによって行われるものです。ビジネスモデルとしても、売り切りでの提供ではなく、いわゆるサブスクリプション型で、ユーザーが月額や年額の利用料を支払って利用するものが多くなっています。

所有と利用の違いのイメージ画像
処理を行う場所による違い
所有と利用の違いのイメージ画像
所有と利用の違い

それに伴ってビジネス用アプリは、以下のような特徴をもつことが多くなっています。

  • 初期導入費用・ランニングコストが低い
  • 試用版等で導入前に使い勝手を確認できる
  • データ連携を行うことで、入力業務が削減できる
  • 機能のアップデートが自動で行われる

このようなビジネス用アプリの特徴は、旧版サポートブック第1章にも書かれている以下のような中小企業の課題に適合していると言えます。

2018年版中小企業白書によると、中小企業がIT導入・利活用を進めようとする際の課題として、「コストが負担できない」「導入の効果が分からない、評価できない」「従業員がITを使いこなせない」といった点があげられています。(P.3)

そのため、サポートブックではビジネス用アプリの活用を推進しています。

支援者の役割と6つのステップ

旧版サポートブックには、以下のような記載もあります。

中小機構が、2018年に中小企業経営者等に行ったIT導入に関するアンケート調査では、IT未導入企業の75%が「導入効果やアプリなどの情報を求めている」という結果もでています。(P.5)

そして、事業者にとって身近な経営相談相手である支援者の役割として、経営課題に合ったビジネス用アプリの情報を提示することが求められていると書かれています。
一方で、これまで一部の支援者は、下図6ステップの「IT導入支援に特有の部分」においてIT専門家やアプリベンダーなどに頼り切っており、一気通貫での支援ができていないことがありました。

ビジネス用アプリ導入支援の6ステップのイメージ画像
ビジネス用アプリ導入支援の6ステップ

もちろん専門性の高い課題の解決方法については、ITに限らず、専門家からの支援を必要とすることはあります。しかし、経営は総合的、一体的なものであり、部分として最適な手法を寄せ集めても、必ずしも全体が最適になるとは限りません。

全体を見据えながら伴走する支援者も必要になります。そのような支援者の方は、事業者の抱える経営課題のどの部分がIT導入によって解決できる可能性があるのか、そして課題解決のためのビジネス用アプリにはどのようなものがあるのか、といった情報を事業者に提示できるようになりましょう。

IT導入支援においても経営支援の基本が重要

IT導入支援に特有の部分においては、たしかにIT専門家が優れているかもしれません。しかし、その部分の支援が有効に機能するためには、実はその前後に位置する一般的な支援のプロセスが重要です。そして、その前後の部分においては、必ずしもIT専門家が優れているとは限らないということも知っておいてください。

どれだけ優れたビジネス用アプリであっても、適切な利用シーンで活用されなければ、大きな効果は発揮できません。また、事業全体としてボトルネックになる課題を解決しなければ、業務が部分的に効率化されても、長期利益には良い影響が現れないかもしれません。

しかし、多くのIT専門家は、専門家であるがゆえに、解決手段であるビジネス用アプリやその他ITのほうにフォーカスしがちで、経営全体、事業全体が見えなくなっていることがあります。

そこで、サポートブックで示している6ステップを意識してほしいのですが、具体的なビジネス用アプリの導入を考える前段階となる、最初の2つのステップが、まず大切です。この部分を改めて確認できることから、今あえて旧版のサポートブックから学ぶ意味があると考えます。

連載第2回と第3回では、旧版サポートブックから、それぞれステップ1「お困りごとを聞く」ステップ2「現状を確認する」に該当する内容を紹介します。

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