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特集

2023年のインボイスの導入に備えた補助金制度について

  • 2023年1月27日
  • 中小機構 中小企業アドバイザー(経営支援) 村上知也
  • DX
  • インボイス
インボイスの導入に備えた補助金制度についてのサムネイル画像

2023年10月からスタートするインボイス制度では、事業者によってはIT投資が必要になる場合もあります。その際に活用できる補助金制度について紹介していきます。

インボイスのシステムの影響範囲

いよいよ今年となりました、2023年10月1日にインボイス制度がスタートします。制度に対応していくためには、以下の図表のようなシステムの対応が必要になると考えられます。

変更の中心となるのはレジや会計システムです。それ以外にも受発注などお金に関するシステムは影響があるでしょう。つまりネットショップも影響を受けるわけです。特に、BtoBのネットショップはインボイスの対応が必須と言えます。また、システムではありませんが、お店での券売機などもインボイス対応が求められます。

システム対応にはコストが掛かりますので、インボイス関連の補助金2023年について確認していきます。

インボイスの対応は中小企業生産性革命推進事業

本稿執筆時点(2023年1月末)では、2023年の詳細な公募要領などは公表されていません。そのため、昨年12月に提示された、「令和4年度補正予算の事業概要(PR資料)」の内容を確認します。

令和4年度補正予算の事業概要(PR資料)(PDF)

中小企業生産性革命推進事業の目的は以下のように記載されています。

新型コロナや物価高、インボイス制度等の事業環境変化への対応に加え、GX・DXなどの成長分野への前向き投資や賃上げ、海外展開を促すため、生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者の設備投資、IT導入、国内外の販路開拓、事業承継・引継ぎを補助し、切れ目なく継続的に、成長投資の加速化と事業環境変化への対応を支援します。
引用:令和4年度補正予算の事業概要 (PR資料) 18ページ

インボイス制度への対応やDX投資について、引き続き積極的に応援していることがわかります。

実際に事業の内容を確認してみると、ものづくり補助金、持続化補助金、IT導入補助金、事業承継・引き継ぎ補助金と主だった項目は昨年から変更はありません。

その中でインボイスに関する情報を見てみましょう。一部、持続化補助金にもインボイスと言うキーワードが入っていますが、こちらはインボイスのシステム対応を直接的に補助するものではありません。やはり本年も、IT導入補助金のデジタル化基盤導入枠が中心となります。資料の方にも赤字で「インボイス等対応」と付記されています(赤枠は著者が追記)。

IT導入補助金の2023年は?

上記のように、IT導入補助金は2023年も実施されます。そして、補助額や補助率については、2022年と変更は無いようです。ただし、詳細な条件はまだ発表されていませんので、新しい公募要領が出た時点で確認してください。

ここからは、2022年の資料に基づいてIT導入補助金を紹介します。

デジタル化基盤導入類型の対象は?

IT導入補助金のデジタル化基盤導入類型はソフトウェア、オプション、役務、ハードウェアの4つから構成されます。

ソフトウェアは、会計、受発注、決済、ECの4分野です。オプションは4分野のソフトウェアの機能拡張やデータ連携、セキュリティとなります。また、役務(付帯サービス)として導入コンサルティングや導入設定、研修、保守サポートも含まれます。

加えて、通常枠のIT導入補助金に無かったハードウェアも含まれます。ただし、PCやタブレットが何でも購入できるわけではありません。例えばPOSレジの決済ソフトウェアを導入して、そのPOSレジを動かすためのタブレットがセットになっていれば対象になりますが、単独でタブレットの購入はできません。

デジタル化基盤導入類型の詳細

前述の通り、会計、受発注、決済、ECソフトが対象になりますが、これらのうち1機能だけなら50万円が上限となります。一方で、受発注と会計といったように2機能にまたがっている場合は350万円までとなります。

そして、通常枠と違って、クラウド利用費用は最大2年分補助となっています。近年はクラウドサービスを利用することが増えていますが、以前までは1年間の補助であったため対象金額が小さくなっていたのに対し、2年分が対象とお得になっています。

なお、ハードウェアは対象となるものの補助上限、補助率とも抑えられています。

デジタル化基盤導入類型の流れ

補助金申請の流れは通常枠と変わりはありません。交付申請を行う前に、導入ツールの内容や金額をITベンダーと相談して決めておきます。

その後、交付申請を行い、採択されたら補助事業の実施期間となります。この期間にソフトウェアの導入(納入やインストール、初期設定、研修)を行います。

そして事業実施報告を行い、補助金交付手続きをしてようやく、補助金が交付されます。導入が全て終わってからの入金となりますので、先んじてITベンダーへの支払いが必要になります。

さらに、その後効果報告が求められます。

2022年のデジタル化基盤導入類型のスケジュール

22022年はなんと19次まで募集されました。執筆時点では、まだ19次の募集を行っていますので、検討されている方は、申請を急ぎましょう。

2023年はどのようなスケジュールとなるかわかりませんが、多く募集されることが予想されます。ただしインボイス制度のスタートは10月ですから、あまり遅くまでは実施されないケースも想定されます。

いずれにせよ、インボイス制度導入直前はITベンダーが繁忙期を迎えます。2019年の軽減税率スタートの時を思い出してみると、。直前にレジの設定を変更しようにも、レジメーカの予約が取れず、10月1日にレジの設定が間に合っていなかった中小企業のお店が散見されました。同じ状況にならないためにも、インボイス制度に対応される事業者の方は、補助金利用の有無に関わらず、早めに導入を進めていきましょう。

インボイスのシステム対応に向けて

今、事業者の皆様に実施してほしいのは、自社の使っているレジや券売機、キャッシュレスシステム、会計システム等のインボイス対応がいつどのようになるのか、メーカに確認することです。

最近では、タブレット型のクラウドレジを使っているお店も増えています。その場合は、クラウド側でレジのソフトウェアがバージョンアップされると、それだけでインボイス対応が完了することもあります。事業者側では、インボイスの登録番号を設定し、変更されたレシートなどの書式を確認するだけで済むケースもあるでしょう。

一方で、ネットに繋がっていないレジの場合は、新しいソフトウェアへのバージョンアップを行ったり、レジ自体を買い替える場合もあるでしょう。

現状を確認した上で、新しいシステム投資が必要になる場合は、今回紹介した補助金が対象になる可能性があります。補助金の公募要領が公開され次第、内容を確認して、早めにインボイスへの対応を図っていただきたいと思います。

以下の記事も、是非参考にしてください。

インボイス制度に必要なシステム機能にはどんなものがある?

レジや券売機で簡易インボイスの準備をしておこう~適格簡易請求書とは?