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特集

DX白書2021が発刊されました(4) ~米国、中国、欧州と比較した制度政策の違い

  • 2021年12月15日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 眞本崇之
  • DX白書2021
DX白書2021のイメージ画像

DX白書2021は企業のDX推進を目的として独立行政法人情報処理推進機構(IPA)によって刊行されました。
当記事ではDX白書の付録としてまとめられている、日本国内だけでない、米国、欧州、中国におけるデジタル関連の制度政策動向のまとめを、ピックアップしてお伝えしていきます。

 

(1)デジタル関連の制度政策を取り巻く環境 各国の違い

米国では、トランプ政権からバイデン政権へと移り変わり、最優先事項の中の1つの経済対策は、新型コロナウイルス感染症に対する経済対策が中心となっています。
科学技術政策は最優先事項の中に掲げられていませんが、個別政策として取組まれています。DXに関連するものには「国家AI 研究開発戦略」の策定等のAIの 推進、先進通信ネットワークの整備、半導体等の先進製造技術の強化などが挙げられ、通信ネットワークや半 導体などDXを支えるインフラ的な技術および応用であるAIに重点が置かれていることが特徴です。

欧州においては、「デジタル時代に相応しい欧州」を掲げた優先事項の一つとして重点的に取り組まれています。

 

また、SDGs との対応を意識した配置で説明されており、項目ごとに整合が図られる形として示されています。

 

中国では、「四大国策」に従い、IT関連先進技術制度が「五カ年計画」としてスローガン、マスタープラン、アクションプランが組まれています。「十三次五カ年計画」での成果評価のコメントもまとめられており、ハイテク・ITの成長が見て取れます。そして、2021年3月に発表された「十四次五カ年計画」で、様々な産業における数字化転型(=DX)の推進目標などが掲げられています。

 

日本の制度政策の環境を確認してみると、国、地方公共団体や社会におけるデジタル化の遅れや人材不足、不十分なシステム連携に伴う非効率さが顕著となり、デジタル改革は急を要する課題となっています。
そこで2021年9月以降、「デジタル庁の創設をはじめとする体制の刷新と、デジタルおよびデータ関連施策の政策や取組の見直し」として、デジタル戦略はデジタル社会推進会議及びデジタル庁が担う体制となりました。

 

(2)デジタル関連の制度政策の違い

米国では、「国家からの制約を受けることなく、データの独占も企業努力やイノベーションの結果生ずる状態」という自由な経済活動を優先してきた考え方であり、DXに関連する政策は少ない。また相対的にDXに対する政策の位置づけは低いことがわかりました。
しかし、中国企業による製品の調達・利用に対する規制や、一部のプラットフォーマーに対する規制の動きが注目視されています。

一方、中国では、(1)新型コロナウイルス感染症の影響で産業界が受けた致命的なダメージを挽回するためのDXで産業界を活性化する方案、(2)国有企業をパイオニアとしてDXを加速化させる動き、(3)中小企業におけるDX推進を実務レベルで活性化させる動き、といった国が主導して進められる動きが見て取れます。
反面、中国では、データ漏洩やデータ濫用、個人情報の不正収集、サイバー攻撃などのセキュリティ問題が多発しており、DX推進に関する法規制が進められています。

欧州は、2015年から「デジタル単一市場」と呼ばれる戦略に基づいて環境整備が行われ、その成果も発表されています。2020年2月には「欧州のデジタルの未来を形成する」が公表され、今後5年間の3つの柱が掲げられ、デジタル技術の開発とカーボンニュートラルに向けたデジタル技術活用のアプローチが盛り込まれていました。欧州で特徴的な点は、デジタル戦略の実現すべき目標として「環境」A European Green Dealの実現が強調して取り上げられていることです。
また、欧州独自のデータ基盤を構築することでデータ主権の確保を目指す、ドイツの「GAIA-X」やフランスの「国家クラウド戦略」が進められています。
※「GAIA-X」には、NTT、富士通などの日本企業の他、各国の企業が参画しています。

 

日本では、DX白書の第1部から第4部でもまとめられているとおり、レポート、手引書やガイドライン、ガイドブック、税制優遇制度といった制度設計が進められています。
下図は、DX加速に向けたデジタル企業への変革の道筋がまとめられた「DXレポート2」により、目指すデジタル社会の姿を示しつつ、DX未着手企業やDX途上企業に対して、DX取組の必要性や支援ツールを提供し、デジタル企業へと変革させる道筋が描かれています。