特集

令和3年版 情報通信白書が発行されました 〜デジタル化が後れている理由

  • 2021年8月30日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー 村上 知也
  • デジタル化
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2021年の情報通信白書が公表されました。
デジタル化の動向や課題、今後の取り組みなどが発表されていますので、その中身を確認していきます。

白書の全体の目次

白書の第1部では、デジタル化の歴史や動向、デジタル化の進まない原因、そして今後の方向性について述べられています。全体の目次は以下の通りです。

第1部 デジタルで支える暮らしと経済
 序章  我が国におけるデジタル化の歩み
 第1章 デジタル化の現状と課題
 第2章 コロナ禍で加速するデジタル化
 第3章「誰一人取り残さない」デジタル化の実現に向けて

第2部 基本データと政策動向
 第4章 ICT分野の基本データ
 第5章 ICT政策の動向

今回の記事では、第1章を中心に、紹介していきます。

日本におけるデジタル化の歩みと課題

 序章の「我が国におけるデジタル化の歩み」では、今までのデジタル化に対する取り組みの歴史が紹介されており、デジタル化の進展を紐解く上でも興味深い内容となっています。

日本のICTインフラは、当初は諸外国に比べて後れていたものの急速に進展しており、光ファイバーやモバイルブロードバンドの普及についてはトップクラスになっています。昔は、日本の通信環境の貧弱さが問題になっていましたが、この部分については、かなり解決されたと言えるでしょう。

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<日本の通信環境の進展>

ところが、「デジタル競争力ランキングにおける我が国の順位」を確認すると、総合ランキングは27位となっており、さらに低下傾向にあります。
その主たる要因として挙げられているのは、人材面、規制枠組み面となっています。

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<デジタル競争力ランキングにおける我が国の順位>

それでは、日本がデジタル化で、大幅に後れを取った理由は何だったのでしょうか? 白書では、以下の6つの項目が挙げられています。

日本がデジタル化に後れを取った理由

(1)ICT投資の低迷

日本のICT投資は1997年をピークに緩やかな減少が続いています。一方、米国のICT投資は3倍になっています。日本のICT投資のうち8割は、現行ビジネスの維持に当てられています

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<グラフ:日米のICT投資額(名目)の推移>
(2)業務改革等を伴わないICT投資

現行の業務を改革することなく、現状のままICTを導入する事例が多いです。そのため、情報システム開発はコア業務ではないと認識されてきたため、外部にシステム開発を委託しがちになり、内部にICT化のノウハウが蓄積されませんでした。
その結果、内部で業務改革を含めたICT化を実現できず、業務改革が進まないため、ICT化の効果が薄くなり、さらにICT投資が消極的になるという負のループに陥っています。

(3)ICT人材の不足・偏在

不足という点では、IT 人材の量について、「大幅に不足している」又は「やや不足している」という回答の合計は、89.0% にも達しています。
そしてさらに問題なのが「偏在」でしょう。
ITベンダにしかIT人材はおらず、ユーザ企業では、IT人材の育成もできないため、いつまでたってもIT人材が不足することになります。

(4)過去の成功体験

過去の成功体験という意味では、デジタル化だけではありませんが、「ゆでガエル現象」が生じていると言われています。デジタル化を含め、特に新しいことをしなくても事業を継続できるという意識が続いていると考えられます。

(5)デジタル化への不安感・抵抗感、(6)デジタルリテラシーが十分ではない

そして一番の理由は、一定層のデジタルリテラシーが不足することによる、不安や抵抗が挙げられます。
今後デジタル化を進めていく上では、デジタルに関する教育や意識改革が最も求められています。

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<世の中でデジタル化が進んでいないと思う理由>

まとめ

今回の記事では、デジタル化が進んでいない理由について紹介しました。
次回の記事では、「誰一人取り残さない」デジタル化の実現のために、必要なことを紹介していきます。