【インタビュー】支援機関の現場に聞く IT支援の実態(オンラインセミナー編)
- 2020年8月6日
- 横浜企業経営支援財団 IDEC 廣木様/佐々木様
- インタビュー

公益財団法人 横浜企業経営支援財団 (IDEC)
経営支援担当廣木様と国際ビジネス支援担当佐々木様にお話を伺いました。
オンラインセミナーの開催時に回線トラブルがあったり、準備には思った以上に人手がかかったり、苦労した経験もありました。
しかし、オンラインセミナーに取り組んでみて、参加者が増えました。今後、コロナが収束したとしても、オンラインセミナーでの支援拡大の可能性を感じています。

Q コロナ前のセミナー企画では、ITを活用されていましたか?
IDECでは、対面式セミナーだけで開催していました。
そのなかで、昨年(2019年)度に行ったセミナーで、講師への質問にITツールを活用したことが印象に残っていました。
通常の対面式セミナーでは、参加者全員の前で手を挙げて質疑応答をするのに躊躇してしまう参加者がいて、積極的なやりとりができません。そのときは、スマホで手元からリアルタイムに質問を投げかけるようにしたため、参加者から気軽に質問できると好評でしたし、場も盛り上がり、便利でおもしろいと感じていました。
今回のコロナの影響を受けて、オンラインでセミナーを開催せざるを得なくなりました。オンラインセミナーには不安もありましたが、専門家のアドバイスを受けながら実施に漕ぎ着けました。
Q はじめてのオンラインセミナーはどのようなものでしたか?
コロナの影響が出始めた3月頃、とある認定制度に関する研修を行う必要がありましたが、集合研修の開催が難しいと判断し、急遽オンラインで実施することになりました。
当時は、ツールの選択肢も少なかったため、撮影した動画をyoutubeで公開し、参加者に閲覧してもらうようにしました。
結果として、通常60人会場で複数回行う研修に対して、公開は4時間だけでしたが延べ430人に閲覧していただきました。1度録画した動画で、多くの方に参加していただけるオンラインセミナーに可能性を感じました。
今年度になってからは、会場に参加者が集まることが難しくなり、また社員の出勤も減ってきたため、本格的にコロナの影響を意識したセミナー企画を進め、Zoomセミナーの準備を進めました。
Q オンラインセミナーの準備で苦労したことはありますか?
まず、職員が、ツールの操作や設定を覚えるのが必要でした。やってみないとわからない、というところがあり、IDECに登録するIT専門家にも相談しながら、進めてきました。さらに、何を準備していけばいいか、どう見えるのか、どういう資料がいいのか、とにかく手探りで進めました。
また、オンラインだと効率的、というイメージを持っていましたが、内部業務は少し混乱しました。例えば、会場が決まっていれば、スタッフは司会進行と受付の2名程度で済みますが、オンラインだと、司会進行などの現場サポート+参加者受け付けに加え、お客様の接続(カメラがない、音声OFFにできないなど)のサポートも必要になり、スタッフが3〜4名必要になりました。
オンラインの方が実はマンパワーが必要だと気が付きました。(これはもしかしたら最初だけかもしれません。)
さらに、オンラインならではのトラブルも体験しました。
海外との接続では、事前の打ち合わせ時に、途中で通信が途切れることがありました。
セミナー当日も通信トラブルがあっては困る、と考え、事前に講義を録画しておきました。実際に、セミナー当日に途中で途切れてしまったのですが、録画映像を流したため、被害は少なくて済みました。講師には2回喋っていただくことになりましたが。
Q 良かった点を教えて下さい。
参加者の都合にあわせ、会場にお越しいただかなくても参加できますので、横浜市全域(18区)からの参加申込みがありました。また、動画をHPにアップし、後日アクセスができるようにしたため、会場の席数以上の閲覧がありました。
また、講師の先生も柔軟に動いていただけるようになったと感じます。海外セミナーをする場合に、海外から配信をできるようになったことは大きいです。IDECでは、これまで上海や台湾と接続しました。講師が帰国したタイミングで開催を予定しなければならなかったのですが、場所を問わず、スピード感を持って配信することができるようになりました。
Q オンライン開催で注意している点はありますか?
オンラインセミナーの場合、会場開催のように2時間連続した配信内容は、参加者の集中力が続かずに難しいとわかりました。アンケートの回答でも、結果として30分程度が最適である、という回答が最も多くなりました。
そのため、IDECでは、30−40分ごとに質疑応答や小休憩を入れるなど、工夫をしています。
そもそもコンテンツ自体を30分程度に短縮していただいた講座もあります。その場合、詳細は、個別相談にて対応するなど、参加者のレベルに応じて、区分けができるようになりました。
Q IDEC主催のオンラインセミナーについて、今後の方針を教えて下さい。
これまで特定の開催日時には来れなかった層にも参加していただくことができました。また、ITツールを色々と試す機会があり、手間をかけずに手軽に使えるツールが多いと気づきました。
まだまだ改善点もありますが、今後、コロナの影響が収束したとしても、オンラインセミナーは開催していきたいと考えています。例えば、外部講師を使わずに、内部制作をした動画配信なども積極的に取り入れていけると考えています。