特集

テイクアウトにおけるモバイルオーダーアプリの可能性【非対面型ビジネスモデルへの転換】

  • 2020年7月22日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー  村上知也
  • POS(飲食店)
  • モバイルオーダー

コロナ禍により、多くの飲食店が営業を停止したり、営業時間を短縮したりすることで、売上が低下しています。そんな中、テイクアウト需要は堅調に伸びています。売上の低下を補うために、ネットショップや、デリバリーを始めている飲食店も存在しますが、なかなか難しいものです。お店で提供する際には、調理後すぐに、お客さまに食べてもらえますが、デリバリーやネットショップでは時間がかかります。特に、ネットショップは日を跨いでの提供となるでしょうから、今までと同じ商品を提供するのは難しく、新しい商品企画を考えることが求められます。

テイクアウトもお客様が口にするまでの時間はかかりますが、ネットショップやデリバリに比べると、時間が短く、提供はしやすいでしょう。しかし、テイクアウトを始めると今までと違った注文の受け方や、お釣りの受け渡しなどの業務が増えます。そこで必要になるのが「モバイルオーダーアプリ」です。

○モバイルオーダーアプリとは

モバイルオーダーアプリとはスマホやタブレットで注文するアプリです。ただし、注文する状況に応じて対応するアプリが変わってきます。具体的には、(1)イートイン(店内)注文アプリと、(2)テイクアウト注文アプリの2つ大きく別れます。

(1)イートインでの注文アプリ

イートインでの注文アプリは、①店員がスマホで注文を取るウェイター機能、②お客様がお店に用意されてあるタブレットで注文する機能、③お客様が自分のスマホで注文する機能に分類されます。

「①店員がスマホで注文を取るウェイター機能」は、一般的に利用されているスマホ・タブレットレジで実現するものです。これはすでに多くのお店で導入されています。店員さんがオーダーを取る時にスマホを使っているお店は、ますます増えていくでしょう。

ここからアプリのPOS(飲食店)アプリはこちらからアクセスできます。https://ittools.smrj.go.jp/app/result.php?is_clear=&sector=s02&app_purpose%5B%5D=p01-a10

「②お客様がお店に用意されてあるタブレットで注文する」のは、セルフオーダー機能と呼ばれます。お店のテーブルの上にタブレットが置いてあって、お客様が自分で注文するタイプです。注文はタブレットで、決済はPOSレジで実施している場合が多いですが、テーブル上のタブレットで決済まで行えるお店も散見されます。

「③お客様が店内で、自分のスマホで注文する」ケースは、まだ多くないでしょう。それでもQRコードの普及とともに徐々に増えつつあります。

現状では店内で、お客様が自分で注文する仕組みとしては、自販機を使っているところが多いです。例えば少人数で運営しているラーメン屋さんなどではそうでしょう。
今すでに自販機を使っているお店がいきなりスマホでモバイルオーダーを導入するのは難しいでしょうが、新しく開店するお店であれば、お客様がスマホで注文をして、決済までしてくれる仕組みを検討する余地はあるでしょう。

(2)テイクアウトアプリとは

テイクアウトアプリは、これまでは、大手のお店が独自開発で提供しているものが中心でした。例えば、マクドナルドやスターバックスでは独自アプリが提供されています。こういったお店は、レジが渋滞していることも珍しくありません。そこで、店外でアプリから注文を行うことで、レジに並ぶ必要がなくなります。
しかし、中小企業では独自アプリを自社で作るのは困難でした。そこで、テイクアウトに関するプラットフォームとなるアプリがいくつか登場しています。
LINE やPayPayといった、既存の大手キャッシュレス事業者が提供しているものと、menuやPICKSといったベンチャーが提供しているものがあります。

利用者数は公表されていませんが、それぞれのアプリを登録して使ってみたところ、まだまだ登録店舗数は多くありませんでした。登録されているお店は、現時点では大手のフランチャイズ店が多いですが、徐々に中小企業店舗も増えているようです。
利用した感想としては、クレジットカードなどの初期の登録は必要なものの、便利でした。店頭の自販機で注文するときは、後ろに並んでいる人が気になって、慌てて注文しがちですが、自分のスマホであれば、じっくりメニューが選べます。そして、なんと言っても、店頭で受け取る際に、行列しているお店であっても、優先的に素早く受け取れるというのはうれしいです。今後ますますモバイルオーダーアプリの利用頻度は高まると考えています。

○お店は、テイクアウトにITでどう取り組むか

それでは、お店はテイクアウト需要に対して、ITを含めてどのように取り組めばいいでしょうか。
前述のテイクアウトアプリの活用の前に、GoogleMap(地図)には必ず登録しておきましょう。地図アプリでは、テイクアウトに対応しているお店を表示しています。登録は無料ですから、これだけは必ず登録しておきたいところです。
登録は、Googleマイビジネスから行いますhttps://www.google.com/intx/ja/business/

テイクアウトアプリは徐々に広がりつつあるものの、現時点では、キャッシュレスのように多くの人が使っているものではありません。テイクアウトアプリを入れたからといって、急速に売上が伸びるものではないでしょう。しかし、今は過渡期であり、今後、急速に伸びる可能性はあります。ライバルのお店が取り組む前に、まずは試してみるのがいいでしょう。
ただし、テイクアウトアプリを導入すると、注文が入ってないかを確認して、指定時間までに作っておく業務が発生します。テイクアウトアプリで注文したのに、来店時にまだお料理ができていなければお客様の評価は下がってしまいます。導入するなら確認ミスなどが発生しないように、店内の役割を決めて、確実に業務をこなしていきましょう。

なお地方の街であるほど、テイクアウトアプリに登録されているお店は少ないです。そのため、登録しておけば、利用者の目に自店が触れる可能性は高まります。コストも、現時点では無料のものが多いのですので、チャンスと言えるでしょう。
キャッシュレス黎明期と同じく、テイクアウトアプリも最初のうちに参入しておいた方が、お店にとっても売上アップの可能性が出てきますし、テイクアウトの注文をとる業務を効率的にこなすことにもつながるのではないでしょうか。

連載「非対面型ビジネスモデルへの転換」

1. 概論:非対面型ビジネスモデルへの転換とは

2. 各論 BtoC EC:やってみよう!! ネットショップ開設の基礎知識
3. 各論 モバイルオーダー:テイクアウトにおけるモバイルオーダーアプリの可能性(本記事)
4. 各論 BtoB EC:対面型の事業者間取引をBtoB ECを軸に非対面型へ
5. 各論 テレワーク(予定)