特集

非対面型ビジネスモデルへの転換とは

  • 2020年6月9日
  • 中小機構 中小企業支援アドバイザー  村上知也
  • 非対面型ビジネスモデル

対面での商売の形態を変更せざるをえない業界では、「非対面型のビジネスモデルへの転換」への取り組みが急速に進んでいます。
そのため、国の補助金でも、「非対面型ビジネスモデルへの転換」に関する申請の場合は補助率が上がっているケースがあります。

○IT導入補助金の場合

例えばIT導入補助金では、特別枠(C類型)が設けられ、コロナウィルス感染症が事業環境に与えた影響への具体的対策として、「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモデルへの転換」「テレワーク環境の整備等」に取り組む事業者への補助率が3/4に引き上げられています。

【IT導入補助金の非対面型ビジネスモデルに対応する場合の補助率】

それでは、「非対面型ビジネスモデルへの転換」は何をすればいいのでしょうか?

○持続化補助金での例

小規模事業者持続化補助金での公募要領の、「非対面型ビジネスモデルへの転換」の取組事例としては以下のような記載があります。店舗での、「販売」や「接客・サービス」、「決済」といったお客様と触れ合う機会、すなわち「顧客接点」のデジタル化対応が求められていると、言えるでしょう。

 店舗販売をしている事業者が、新たにEC販売に取り組むための投資 (販売)
 店舗でサービスを提供している事業者が、新たにVR等を活用してサービスを提供するための投資 (接客・サービス)
 有人で窓口対応している事業者が、無人で対応するための設備投資 (接客・サービス)
 有人でレジ対応をしている事業者が、無人で対応するための設備投資(決済)

○飲食業での顧客接点の変化

それでは、顧客接点をどのようにデジタル化対応させていくとよいのでしょうか?業種によって対応も異なりますが、飲食店では以下のような変化が予想されます。

【飲食店でのデジタルを活用した非対面型ビジネスモデルへの転換】

(A)店外利用では、ネットショップアプリを使った食材の販売や、デリバリアプリを使った宅配が考えられます。なお、ネットショップもデリバリもハードルが高い面がありますが、多くの飲食店では、テイクアウトへの取り組みが進んでいます。今後は、 (B)テイクアウトアプリのニーズが高まるでしょう。

(C)入店後は、お客さまの注文の仕方によって、非対面の度合いが変わります。店員が客席まで来て、「POS端末で注文を取る」よりは、店が用意した「セルフオーダータブレットで注文」の方が、接触は少なくなります。ただし、テーブルごとのタブレットの用意にはコストが掛かりますので、これからは、「お客様が自分のスマホで注文する」といったモバイルオーダーの普及が進むでしょう。

(D)さらに店内では、ウェイターから厨房への連絡をPOSの厨房への連絡機能を活用することでスタッフ間の対面が減らせます。

(E)そして、お会計時の決済の際には、キャッシュレスアプリを活用することで、現金の手渡し等の対面を削減できます。

(F)また、お客さまとの対面ではありませんが、店舗を締めて売上を集計して、経理をする際には、ネットバンクと連動したクラウド会計アプリを活用することで、銀行等での入金・記帳業務も非対面化していくことが可能です。

○非対面型ビジネスモデルへの転換シーン

飲食店でのケースを前述しましたが、実際には非対面型は、店舗での消費者とのやり取りだけではなく、事業者間の取引であったり、社内作業の非対面化も含まれます。そこで、考えられる非対面型への転換について、Before、Afterで整理します。

【Before】

【After】

店舗での買い物かごに商品を入れて現金で支払う形態から、①BtoC EC(消費者向けのネットショップ)への変化は一番わかり易い非対面型への転換です。飲食店でのデリバリも、BtoC ECに近い形態と言えるでしょう。

次に、店頭での②モバイルオーダーやキャッシュレスが考えられます。①のECに比べると、事業者とお客さまの距離感はぐっと近づきますが、直接お客さまと向き合って伝票に注文をとったり、決済時に現金のやり取りをすることに比べると、非対面型の割合が高まっていると言えるでしょう。

そして、事業者間同士のやり取りも、営業担当者がパンフレットを持って提案したり、FAXや郵送のやり取りを行うよりは、③BtoB EC(事業者間ネットショップ)になったほうが非対面型と言えます。②との違いは、消費者向けのネットショップはお客さまによって価格や商品は変わりませんが、BtoB ECでは、価格や商品もお客さまによって変わってきます。だからこそ、営業担当などの人手が必要だったわけですが、BtoB ECアプリの普及で多くの部分で自動化が図れるようになってきました。

最後に、④テレワークですが、社内作業を自宅で行うだけでは「ビジネスモデルの非対面型への転換」と言い難いですが、事業者間をまたいでテレワークをすることは、ビジネスモデルの転換に繋がります。テレワークで営業が提案したり、セミナやコンサルティングサービスを、テレワークアプリを使って、オンラインで提供を行うことができれば、大きくビジネスモデルを転換できるでしょう。

次回以降の記事では、上記の①BtoC EC、②モバイルオーダー、③BtoB EC、④テレワークについて、より具体的に考えていきます。

連載「非対面型ビジネスモデルへの転換」

1. 概論:非対面型ビジネスモデルへの転換とは(本記事)

2. 各論 BtoC EC:やってみよう!! ネットショップ開設の基礎知識
3. 各論 モバイルオーダー:テイクアウトにおけるモバイルオーダーアプリの可能性
4. 各論 BtoB EC:対面型の事業者間取引をBtoB ECを軸に非対面型へ
5. 各論 オンラインでサービスを提供し、コロナ禍を乗り切ろう