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【インタビュー】IT支援の取り組み状況——高崎商工会議所 梅澤史明さん(前編)

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【インタビュー】IT支援の取り組み状況——高崎商工会議所 梅澤史明さん(前編)

  • 2019年09月12日

高崎商工会議所 中小企業相談所の梅澤史明課長にIT支援の取組み状況について、お聞きしました。

高崎商工会議所 経営支援課 課長 梅澤史明さん 平成13年高崎経済大学経済学部を卒業し、都内のシステム会社に勤務。その後、高崎経済大学大学院で経営学修士を取得し、高崎商工会議所に入所し、中小企業大学校の中小企業診断士養成課程に派遣。中小企業診断士の資格を取得。IT導入支援の先駆者として活躍中。

|梅澤課長には「ここからアプリ」立ち上げの際からお知恵をいただいており、ありがとうございます。梅澤課長がITに詳しいのはなぜかバックグラウンドを教えていただけますか。

 両親が自営業をしていたため、もともと中小企業支援に従事したいと考えていました。大学4年生の就職を考える時期に金融機関から内定をもらっていましたが、ゼミの先生から中小企業支援がしたいならITを知っておかないと駄目だと東京のIT会社を紹介され、入社しました。元々文系でITは全くの苦手分野でしたが、毎日業務終了後に勉強を続け、SFA(営業管理システム)やCRM(顧客管理システム)の導入支援にも携わることができました。仕事はたのしかったのですが、実家に戻らなくてはならなくなり、家業の手伝いをしつつ、大学院の修士課程に入学し、同時に中小企業診断士の勉強も始めました。大学院の修士論文ではアンケートを実施して、「IT経営100選」に選ばれた企業と地元の企業の比較をしました。それから色々あって、高崎商工会議所に就職することになりました。

|なるほど。IT会社での経験が現在の支援の現場に活きているのですね。高崎商工会議所は経営支援にはもちろんですが、その一環として、IT導入支援にも力を入れていらっしゃいますね。事業者からの相談は増えてきていますか。

 ITに関する相談は増えてきていますね。HP作成などの費用補助を受けられる持続化補助金やソフトウェアの導入に対して費用補助を受けられるIT導入補助金ができたことで、申請書の作成等について相談に来られる事業者が多くなってきました。
 ソフトウェアの導入についての相談は、ものづくり補助金を検討される事業者と同規模の従業員20~30人位の事業者から寄せられることが多いです。

|補助金の申請件数も多くなると思いますが、すべて梅澤課長が対応しているのですか。

 いえ、そんなことはありません。当会議所では、持続化補助金の申請支援に関しては、総務課など指導員ではない職員も含めた全課の職員が、1件以上は対応することにしています。もちろん、どうしても職員間で担当数の差は出てきて、総務課の職員であれば一人当たり1~3件程度になりますが、経営支援課だけで担当するのは大変なので、負荷分散の効果もあります。
 また、総務課などは事業者の支援に直接関われない業務ばかり担当することになりがちなので、直接事業者に関わることのできる申請支援の仕事を担当することで、モチベーションアップにもつながっているようです。最初は一人では難しいですが、1件でも担当すると、ある程度感覚をつかめるので、次からはスムーズに担当できるようになってきます。

|それはすごいですね!素晴らしいと思います。

説明中の梅澤さん 説明中の梅澤さん

経営支援の一環としてのIT導入支援

|具体的にはどのような相談が多くなっているのでしょうか。

 やはり販路の拡大につながる相談です。例えば、既にHPをお持ちでも、それをよりよくしたいといった相談です。具体的には「スマホ対応したい」、「ショッピングカートをつけたい」、「外国語対応したい」といった相談ですね。あとは「HPへのアクセスを分析したい」という相談も多いです。その場合にはGoogle Analyticsを活用して分析できる仕組みづくりを専門家に手伝ってもらっています。

|「ここからアプリ」ではHP作成サイトの閲覧数が多いため、HPを作りたいという質問が多いのかと予想していたのですが、その先を行く相談が多く寄せられているのですね。貴会議所ではHP作成について相談があった際、どのように対応していらっしゃいますか。

 お客様がHPについて相談にこられる際、当会議所では他の支援や施策への展開も考え、できる限り「販売戦略体系図」というシートを埋めてもらっています。項目としては、(市場・顧客)ターゲットのニーズとウォンツ、顧客の購買行動やマーケティング目標などです。これらを記入してもらって目標を達成するために、戦略上、今、本当に必要なことは何かをお客様と一緒に考えます。

販売戦略体系図 販売戦略体系図

 当初、HPの作成を目的に考えていらっしゃった場合でも、シートを記入してもらって顧客の購買行動とマッチしない場合には「(高価なHPを)作ってもしょうがないのではないでしょうか。(安価な)当商工会議所のHPサービスを利用して他にお金を使いましょう」とアドバイスすることもあります。

 当商工会議所では大阪商工会議所が運営するBM-テンポを活用して、年間3000円でHPを提供しています。「あればよい」というレベルのHPであれば、これで十分だと考えています。

 
「たかさきわいわいひろば」 というポータルサイトに紹介されているHPはすべてBM-テンポを利用したものです。ここから事業者のページへ誘導しています。

 以前、相談に見えた建設会社はホームページを一切持っていませんでしたが、求人やハローワークに掲載するためのHPを作成しました。HPを作成するお客様には、他社のHPを見て、お客様がよいと思うデザインのページを探してどこの制作作業者を使っているか聞いてみるよう必ずお伝えするようにしています。デザインは好みがありますので、重視しているのは、事業者さんが自ら更新を行えるホームページ(CMS)かどうかです。

|「ここからアプリ」ではHP作成に続いて、POSレジとキャッシュレス決済のページが多く見られていますが、貴会議所への相談状況はいかがですか。

 POSレジについては、8%と10%の商品が半々くらいの事業者の殆どは既に新税率への対応体制が整っています。しかし、どちらかの税率に商品が偏っていて、少ない方の税率の商品が売上の5%以下しか占めない場合には、売上比率が少ない税率の対応は手計算でと考えている事業者が多いようです。
 キャッシュレス決済についての相談は増えてきていますが、事業者の腰が重い印象を受けています。売上状況から「うちはまだ・・・」と導入に二の足を踏む声を聞くことがあります。

|IT導入が上手くいくケース、つまずくケースの分かれ目はどのあたりがポイントになのでしょうか?

 本人自らがやる気になっているかどうか、がポイントですね。誰かに言われたから導入するという姿勢では、導入したとしても従来の仕事の進め方を変えようとしないなどで、上手くITを使えずに放置されてしまうことがあります。
 そして、やる気のあるなしというのは、後継者がいるかどうかで変わってきます。自分の代で終わってしまうことが想定されていると、なかなか新しいやり方を導入していこうという気持ちになりづらいです。そのため、後継者がいるところではIT導入が進むけれど、いないところはできる範囲で、となりやすいです。

|たしかに後継者がいない事業では、変革していく必要性を感じづらいと思います。事業の将来を見据えて、主体性をもって取り組めるかどうかが、IT導入には重要になってくるのですね。

後編では、支援機関としての取り組みや姿勢、IT導入をサポートするWebサイト「ここからアプリ」について伺った内容をお伝えします。【後編は来週公開予定です】

img005.jpg 梅澤さん(左)と、今回インタビューを担当した
中小機構 中小企業支援アドバイザー 吉田(右)